東芝が新生プラン抜本見直し、「劇薬増資」で背負った難題エレベーターなど「新生東芝」の主力製品を開発する府中事業所には、社員を鼓舞する看板がある Photo by Hirobumi Senbongi

 東芝が2018年中に自社の再生プランを改定することが分かった。稼ぎ頭だった半導体メモリー事業売却後に残る「新生東芝」の存続に向けて、具体策を打ち出せるかが焦点となる。

 東芝は不正会計が発覚した15年、再生策として「新生東芝アクションプラン」を発表。17年3月に修正版を示したが、「踏み込み不足で新たな稼ぎ頭がない」(主力取引銀行幹部)との声が上がっていた。

 東芝が2度目の再生プラン改定に踏み切るきっかけとなったのが、12月5日に実施する6000億円の増資だ。これにより2期連続の債務超過を回避し、上場を維持できるめどが付いた。

 だが、この増資は劇薬だ。

 資本増強は、特定の投資家に新株を割り当てる第三者割当増資で行い、ヘッジファンドを中心に海外60社が参加する。増資後は旧村上ファンド出身者が設立したシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが筆頭株主になるなど、「物言う株主」の発言力が高まる。

 東芝はすでに半導体メモリー、テレビなどの事業売却を決めたが、さらに、パソコン事業の売却も検討している。しかし、リストラはこれで終わらない。物言う株主の圧力によって、構造改革が加速することはもはや既定路線だ。