営業担当者から
突然の値上げ提案

 私の運営しているチームに、長年サービスを提供し続けている企業Cがありました。私が契約をしたわけではなく、私の前任者が先方と内容を合意しており、契約そのものは何の問題もなく成立・締結しているものでした。

 ところが、ある日突然、C社の営業担当者がやってきて「来月から値上げさせてください」と申し出てきました。青天の霹靂だったので、詳しく話を聞くと、

・契約の金額は、実はC社内ではとても安いと思われている
・この契約から、他の付加価値を得られていない

 とのことでした。

 契約はたしかに破格のものだったようですが、どうやら「契約金額は破格だが、澤の会社が提供しているサービスを自由に利用してC社に還元する」ということを条件にして契約が成立していたとのこと。ただ、その価値を得られていないので、それを金額に上乗せしてほしいとの依頼でした。

 これはちょっと詳しく調べないといけないな、ということでC社の営業担当ではなくサービスの提供の担当者に話を聞くと「上司からは何の指示もされておらず、澤の会社のサービスを還元しようにも、C社内でそれを受け入れる体制がない」という話。しかも、これは誰も幸せになっていませんし、無条件で値上げする納得感も私の方にはありません。出した結論はシンプルに「契約終了」です。

 いずれのケースも、決定的に欠落しているのは「相手の視点」です。交渉の相手がどう感じるのかをリサーチする前に、自分の都合で条件を提示してしまったところです。相手の置かれている状況や、交渉内容に対する判断基準などを事前に調べる、もっと言えば「興味を持つ」ということができていれば、まったく違う結果になったかもしれません(友人Bの場合はスキー板に関していえば満足する結果が得られましたが、ここにこうやって登場する羽目になりました)。