Philips Hue
今年はあまり自宅のデジタルガジェットが増えなかったというが、その少ない中で増えたのが写真のフィリップスのスマートLEDライト「Hue」

 できるだけ年末年始もそわそわしないようにしようと心がけています。2017年を振り返るシリーズの次回分で触れますが、あまりほかの人の話を見聞きしなくなってしまいましたが、それでもやっぱりカレンダーで2017年の残りが少なくなってくると、浮き足立ってしまいます。

 日本は寒波も訪れ、忙しさと寒さで体調を崩される方もいるかもしれません。どうかお気をつけて、年末年始お過ごし下さいませ。

 感謝祭を過ぎたカリフォルニア州北部のバークレー。11月は多少雨が降りましたが、12月に入ってからぱったりと雨が降らなくなってしまいました。このまま行くと、来年もまた干ばつに逆戻りしてしまうかもしれません。

 来年のこともですが、目下、この冬の気候にも心配が集まります。カリフォルニア州南部、ロサンゼルス周辺では大規模な山火事が発生しており、セレブが住む高級住宅地からの避難も余儀なくされていると報告があります。

 同様に、バークレーも空気が極度に乾燥し、消防署の前に立てられている看板は、山火事の危険性が「極大」(Extremely)で固定されたままになっています。また気温も朝夕は5度まで下がり、暖炉を炊き始めていることから、空気も悪くなってきました。

 そんなバークレーでの12月を過ごしつつ、今年の年末年始は東京で過ごそうと思っております。

あまりガジェットは増えなかった2017年

 さて、テクノロジーについて毎日考えていると、やはり何か新しい製品を試してみたくなります。今年は特に、プログラミング可能なロボットが家に5体ほど増えましたし、ワイヤレス充電器は我が家に2つ設置されました。

 しかしそれ以外のガジェットは、あまり増えずに1年を終えそうだという見通しです。スマートフォンやスマートウォッチは新しいモノを購入しましたが、あくまで買い換えであるため、モノが増えたわけではありません。

 新たなカテゴリの製品が増えなかったことは、おサイフにとっては非常に良い傾向です。次の新しい魅力的な製品が出たら、スマホのように買い換える可能性を増大させるからです。ただ仕事柄、やや退屈な1年だった、とふりかえるべきかもしれません。

 そんな中で、生活の中に新たに加わったのは、Google HomeやAmazon Echoといったスマートスピーカーです。2017年になるかならないかというタイミングで購入し、今年の頭から設置していました。残念ながらAppleはHomePodの出荷を2018年に延期させたため、2017年に試したのは前述の2機種までになりそうです。

 最初はAmazon Echoを自宅のキッチンに設置して使い始めたのですが、結局現在はGoogle Homeに置き換えて落ち着いています。

 いくつか理由はありますが、黒っぽいAmazon Echoより白いGoogle Homeの方がキッチンに合っていたこと、そしてAlexaにはアプリを機能ごとに入れないと答えてくれない点にストレスを感じたこと、Google Homeは「Google検索の声版」の感覚で利用できたことにあります。

 しかし、アパート住まいだと、スマートスピーカーでやれることは、部屋の電球を付けたり消したりすること、タイマーやBGMの再生くらい。部屋の電球も、スマートスピーカー導入に合わせてフィリップスHueの電球を5個買ってきて、これを設置して初めて利用できるようになったくらいです。

 アパートだと、ガレージや家のドアのカギ、空調などをスマート対応させる要素がなく、スマートスピーカーから声で何か操作する余地があまりなく、数少ない、新たに導入されたガジェットも、不完全燃焼、という状態になっていました。

それにしても機械に向かってよく喋るようになった

 スマートスピーカーの真価はまだまだ発揮されないままですが、Google HomeやAmazon Echoを導入して、圧倒的に活用の幅が拡がったのは、実はiPhoneやApple Watchに搭載されている音声アシスタントのSiriでした。

 Siri事態は2011年のiPhone 4Sで最初に搭載されましたが、そのときはタッチ操作の方が便利だったため、声で何かを解決しようとは思いませんでした。ところが今では、キッチンでGoogle Homeに向かって音楽再生や、パスタのゆで時間のカウントをお願いしたりするうちに、iPhoneやApple WatchでのSiri活用の頻度が格段に上がっていたことに気づきました。

 AppleはHomePodの発売を遅らせましたが、音声アシスタントやスマートスピーカーとしてではなく、ホームオーディオとしての地位を確立しようとする製品だと説明しています。その背景には、すでに多くの人々が持っているAppleデバイスにSiriが搭載されており、Appleがわざわざスマートスピーカーを普及させてSiriを広める必要性がないからでしょう。

 特にApple WatchのSiriは便利です。Apple Watchのセルラー対応で、iPhoneを持っていなくてもSiriが利用できるようになり、家人への電話やメッセージ、ワークアウトの開始はもちろん、タイマー設定やリマインダーへの追加もこなすようになりました。iPhoneでは取りあえず何か調べたい時「○○を検索」と話しかけてWeb検索のショートカットを画面に表示させています。

 スマートスピーカーを試してみて、手元のスマホや時計の音声アシスタント機能を活発に活用するようになった、というのが声のインターフェイスに関する2017年の筆者なりのまとめでした。皮肉な話ではありますが、Appleがしたたかに、すでに6年以上音声アシスタントを搭載し続けていた強みが現れつつあるのかもしれません。

操作の不確実性をいかに排除するか?

 音声アシスタントを使うようになった際の問題点は、不確実性と待ち時間だと思います。

 もちろん音声認識の精度は日進月歩で上がっていきますが、母国語であっても、回りが騒がしかったり、ちょっと言いよどんだりすると、間違った言葉として認識されたり、違う機能が呼び出されたり、「よくわかりませんでした」とつれない返事が返ってきたりします。もう一度言い直して、目的通りに認識されるまで試さなければなりません。

 この問題点は普段スマートフォンなどをタッチで操作している場合は発生しないことです。画面表示に合わせて指で操作するため、あらかじめ何ができるかが分かりやすいし、間違っても最初からではなく1つ前の画面に戻って操作することがほとんどです。そうした階層や順序に沿った操作は、音声入力ではまだまだやりにくい印象。

 「ツー」といえば「カー」みたいなテンポの良さで、掛け合いながら機会に声で操作を話していくには、機会側の認識ももちろんですが、人間側の乗りの良さも求められそうですし、画面で実現しているインターフェイスを声に置き換えるという概念自体を、なんとかしなければならないでしょう。

 Google Homeは最近、2つの命令を同時に受け付けてくれる機能を獲得しました。たとえば、夕方に料理をしていて煮込む時間を計るときに、部屋が暗くなってきたから電気も付けたいと思ったら、「部屋の電気を付けて5分タイマーで計って」と言えば、それぞれの命令を受け付けてくれる、というものです。

 手順のショートカットは、音声入力ならではの手軽さをもたらし、また不確実性も減らしてくれるでしょう。このあたり、使う人と音声アシスタント側のコミュニケーションで作り上げていく必要がありそうです。

音声アシスタントの進化もやっぱりApple待ち?

 音声アシスタントの進化は、対応アプリの増加ではなく、いかにその人の行動パターンや普段使っている機能を理解していくか、にかかっているのではないでしょうか。

 そう考えると、やっぱり家にいるときしか話をしないスマートスピーカーよりも、スマートフォンやスマートウォッチの音声アシスタントに分があるのではないかと思うのですが、AppleのSiriの進化もゆったりとしたスピードに留まったままです。

 AppleはWorkflowというアプリを買収しました。このアプリは、誰かに電話する、誰かにメールする、位置情報をツイートするといった、iPhoneでよくやる操作のショートカットを作成することができるアプリです。

 たとえばSiriに対して、自分が良く使う機能のショートカットを作成して声で呼び出せるようにすれば、前述の操作の確実性が格段に上がるだけでなく、Siriを育てていく感覚が得られるようになるでしょう。加えて、SiriがユーザーのiPhoneの使い方から、自動的にWorkflowを提案してくれるようになると、勝手にカスタマイズが進むアシスタントのできあがりです。

 まだ先の話になるかもしれませんが、2018年の実現に、期待していきたいと思います。


matsu

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura