私の好きな言葉に「行己有恥」(己を行うて恥あり)と言う論語の言葉がある。

 論語は、今から2500年以上も前の中国の聖人孔子の言葉を弟子が編纂したものだが、その中の子路篇にこの言葉はある。

 どのような人を「士」というか。

「子貢問うて曰く『如何なるこれこれを士と言うべき』子曰く、『己を行うて恥あり。四方に使いして君命を辱めざる、士と言うべし』」

 意味は、読んで字のごとくだが、子貢が、孔子に、「どのような人物を士と言うべきでしょうか」と尋ねた。

 すると、孔子は、「志を立て、命懸けで責任を果たし、恥になるような行いをしない。国家使節として本国を出て諸国の諸侯たちの元に向えば、君主の命令を立派に果たし、その名を辱めることがないような人物なら、士と言ってよい」と答える。

 なぜこの言葉を思い出したかと言えば、沖縄普天間基地移転問題に関する次のようなごたごたが続いているからだ。

 自民党時代から民主党に政権交代し、「宇宙人」鳩山由紀夫元首相が、「最低でも県外」と宣言した時からおかしくなった。すったもんだで沖縄とアメリカの信頼を失った挙句、退陣した。その後を受けた菅直人前首相も何も出来ず退陣。今度の野田佳彦首相は、とにかくアメリカとの関係を修復したいという一念から、なにがなんでも辺野古沖に移転させようと動き始めた。