脅威を明確化するには
能力と意図を見る

秋山進氏 Photo:DOL

秋山 企業が情報を活かせないのは、目的意識が弱いということも問題ですが、脅威の明確化ができないために、いつの間にか、競合他社に特定の領域で追い越されるということがよく起こります。そうならないためにはどうしたらいいのでしょうか。

上田 安全保障のお話が参考になるかもしれません。安全保障では、脅威を減らすことが重要なので、まずは脅威を明確にすることが大事だとよくいわれます。

 ここで脅威とは何か、脅威をどのように見積もるか、が問題になります。

 脅威とは、対象あるいは敵が自分(たち)に対して、何ができるかという「能力」と、何をしてくるかという「意図」の二つから構成されます。脅威を見積もるには、意図と能力の両面から考えるのです。

秋山 企業でいえば、ライバル企業がいまどのような財務状態にあるか、どんな人材がいるのか、どこにどんな工場や販路を持っているかなどが能力ですね。意図というのは、どの分野に進出しようとしているか、企業の目標をどこに置いているか、ということになりますね。

上田 昔から、人間は能力分析よりも意図分析を好む傾向にあります 。

 能力は目に見える、変化が遅いものです。逆に意図は目に見えず、しかも移ろいも早い。理論上は能力の方が意図よりも分析、評価しやすい。

 しかし、能力は、目に見えやすいからこそ、たくさんのインフォメーションが集まり、情報が錯綜します。そこから一つひとつ積み上げて、何ができるのかを総合的に評価することは、とても面倒なのです。これは、一人でできるようなものではなく、多くの情報要員を抱えた情報組織が行うものです。