最近、ハイエンドDMPがやたら重くなっている。

 Astell&Kern「A&ultima SP1000」のステンレスモデルは386.6g、ソニー「NW-WM1Z」が455gである。これはもう気軽にポケットに入れて持ち歩ける重さではない。もっと気軽に音楽が楽しめる軽量プレーヤーが欲しい。そんな思いを胸に抱いてポタフェス2017の最新DAPを試聴してみた。

ポタフェス 2017冬
イベントの注目機種CT10は、低価格かつコンパクトなハイレゾプレーヤーだ。3.4型WVGAを搭載

 その操作性と音質でオススメの機種はどれなのか。リファレンスモデルをソニー「NW-ZX300」実売価格約6万円と「NW-A45/16GB」実売価格約2万円に定めて、200g以下の新型DAPを聴いてみた。

新ブランドACTIVO「CT10」は中低音重視でエッジの効いた音

 ACTIVOは、groovers Japanのポータブルオーディオブランドで「CT10」はAstell&Kernの一体型モジュール「TERATON」を使っているのがミソ。モジュール化すればスマホやカーナビにハイレゾ対応のオーディオ機能が簡単に組み込めるのだ。

ポタフェス 2017冬
アユートブースの入口に展示されたACTIVO「CT10」

 このモジュールの中にはDAC、クロック、ヘッドフォンアンプなどが収められ、電源を用意するだけでDAPが完成する。音はAstell&Kernっぽいのかと思ったのだが、中低音の量感があり、それに負けないようにシャープな高音をぶつけている。音色はややドライでカラッとしている。独特の空間感があり、そこにわずかにAstell&Kernらしさを感じた。発売時期価格未定だが300ドル以下を目指すそうなので、予想実売価格は3万4000円としておこう。

ポタフェス 2017冬
アルバム表示でサムネイル画面に対応

 インターフェースは「A&ultima SP1000」に準拠しており、タッチパネル操作がメイン。ボリューム調節用のダイヤルは独立している。ストレージ容量は16GBで最大256GBのmicroSDカードに対応。DACはシーラス・ロジックの「CS4398」を搭載。USB DAC機能、USBデジタルオーディオ出力にも対応する。

 Wi-FiとBluetoothに対応。DLNA Link機能も使える。重量約112gと非常に軽い。PCM/192kHz、DSD128はPCM変換で再生できる。連続再生約10時間。

ポタフェス 2017冬
独立したボリュームダイヤルは微調整もできる
ポタフェス 2017冬
物理ボタンは3個でカードスロットは1基

 この機能とインターフェイスを備えて、もし3万円台前半なら非常にハイコスパ。中華プレーヤーの中にはタッチパネル非搭載で、アルバム表示でサムネイルが表示されないモデルもあるが、「CT10」はインターフェースの面でもソニーに対抗できる。

バランス対応で解像度を上げたaudio-opus「OPUS#1S」

 audio-opusは、いまのところDAPだけを製品化しているオーディオブランドである。最初にDACを決めて、それにあった回路とボディを作っているようだ。現在、OPUS#1から3まで発売中。私が好きなのはES9018K2Mを2基使ったフルメタルボディの「OPUS#2」である。フルバランス構成で、解像度が高く音場感に優れた音を聴かせてくれる。

ポタフェス 2017冬
手にしっくりくるサイズと重さで扱いやすい

 「OPUS#1S」はOPUS#1の後継機で、DACをシーラスロジックCS4398からモバイル向けのCS43198に変更して2基搭載、直径2.5mm4ピンのバランス出力に対応。PCMは192kHz/24bitで、それ以上の場合はダウンコーバートして再生可能。DSDはPCM変換で再生する。DSD5.6MHz(DoP方式)でUSB出力対応、USB DACとしても使えるが現行のファームウェアでは48kHz/16bitまでの制限がある。

 OPUS#1Sの音は、これと比較すると粒立ちをやや抑えて、なめらかでウォームな音色。女性ボーカルが心地よい。「OPUS#3」に比べて解像度が高くハイレゾ音源の恩恵を感じられる。クセのない音で音楽のジャンルを選ばない。

ポタフェス 2017冬
背面はカーボン調の模様になっている
ポタフェス 2017冬
ラインナップは「OPUS#1S」「OPUS#3」「OPUS#2」となる

 液晶ディスプレーは4インチのタッチパネルで明るく操作性も良好。ストレージ容量は32GBでmicroSDカードスロット2基を搭載して512GBまで容量を追加できる。重量190g、実売価格は約5万円だ。

低域に厚みがあって高域はクリアーなSHANLING「M3s」

 SHANLINGは中国・深センにあるオーディオメーカーで、DAPだけでなくスピーカーやアンプも作っている。私は「M3」の音とデザインが気に入って愛用している。その後継機が「M3s」だが、元祖M3とは似ても似つかぬほど進化を遂げているではないか!

ポタフェス 2017冬
ソニー「NW-ZX300」を思わせるプロポーション

 384kHz/32bitのPCMやDSD256に対応、AK4490を2基搭載したバランス構成で、直径2.5mm4ピンのバランス出力に対応する。連続再生時間は約13時間、重量は約135g。3インチRetina HD液晶ディスプレーを採用。さらにUSB DAC機能、そしてBluetooth4.1経由でaptXコーデックの利用も可能だ、内蔵ストレージはなく最大256GBのmicroSDカードに対応する。これでe☆イヤホン価格3万9800円。

 バランス接続で聴く音は低域に厚みがあり、透明感のある高域。音が突き刺さるようなことはなく、なめらかでありながらクリアーでヌケがいい。これはかなりご機嫌な音である。一般的に低域に厚みがあると量感重視でダルい感じの音になりがちだが、本機の低域はドライブ感がありこもらない。

 デュアルDACの搭載に伴い、ローパスフィルターの「MUSE8920」とアンプ部の「AD8397」もデュアル化された。完全なバランス構成になったのが素晴らしい。試聴にはDITAの「Dream」を使った。このイヤフォンは駆動力に問題がある場合、高域が荒れる傾向があるが、M3sは全く問題ない。AKG「K712 Pro」なども問題なく鳴らせるという。

ポタフェス 2017冬
タッチパネル非搭載でダイヤルとボタンで選曲する

 弱点としては、タッチパネルが非搭載である点。ダイヤルとボタンのみのインターフェースになる点か。あとは曲の冒頭でプチッというノイズが出ることがある。

 タッチパネルはないが、スマホにHiBy Linkと呼ばれるアプリをインストールすればBluetooth接続でリモート操作ができる。ソニー「NW-ZX300」を思わせるプロポーションとサイズ、そして左下に貼られたハイレゾステッカーにSHANLINGの意気込みを感じさせる一台である。

最小サイズにBluetoothを搭載したSHANLING「M1」

 SHANLINGで最もコンパクトサイズを実現したのが「M1」である。重量約60gで2.35インチのTFT液晶ディスプレーを搭載。DACはAK4452を採用、192kHz/24bitの再生に対応する。内蔵ストレージはなく、音源は最大256GBのmicroSDカードに保存する、

ポタフェス 2017冬
TFT液晶だが明るく発色も鮮やか

 Bluetooth 4.0対応で実売価格は約1万2000円。この価格でも音はまともだ。低価格モデルにありがちなドンシャリで耳に刺さる音ではなく、音色はウォームで低音もそこそこ出るのだ。タッチパネルではないが、インターフェースもサクサク動く。価格から考えると非常にハイコスパだし、スポーツクラブや海外旅行など壊したり、なくしたりする心配がある時にも気軽に持っていける。

ポタフェス 2017冬
サイドには物理ボタンが3個並ぶ
ポタフェス 2017冬
上部右側にダイヤルがあり快適に操作できる

 本機もスマホにHiBy Linkを入れれば、スマホのタッチパネルで快適操作ができるのだ。小さいのが欲しい人はこれ一択である。

■関連サイト