70年代から80年代
を振り返ると…

 象徴的なのは70年代から80年代にかけてデビューしたアイドルたちのバストサイズで、大半が84センチに集中していたという。おそらく、84センチと85センチの間には大きな川が流れており、85センチ=巨乳=バカというレッテルが貼られかねなかったのだろう。清純さを押し出すために、明らかにそれ以上のサイズでも逆にサバを読んだり、サラシをまいたり。いかに谷間をつくるかの苦労話をアイドルがテレビで明かす現代とは隔世の感がある。

 では、「大きな乳の冬の時代」から、いかに、男が巨乳好きを公言できる時代が到来したのか、「おっぱい星人」が市民権を得たのか。そもそも、いつから「巨乳」と呼ばれるようになったのか。ここまで読んで、関心を持った人は是非、本書を手にとって欲しい。

 もちろん、おっぱいが性と強烈に結びつくのは、アダルトビデオ(AV)の存在が大きいのだが、AVも誕生当時の80年代前半は女優の「顔」が重要で、胸に関心を持つ者はほとんどいなかったという。マニアックなジャンルの一つに過ぎず、Dカップ以上あってもDカップとして売り出すなど、巨乳過ぎることへの抵抗感がマーケティングにも垣間見えた。それが驚くなかれ。今や「現在のAV業界ではGカップ以上が巨乳ということが常識となっている(ー中略ー)。もはやEカップやFカップくらいでは、巨乳には入れてもらえないのだ」。いやはや、Gカップとは。DMMやXVIDEOと決別して久しい私には想像もつかないが、軽薄短小の今の時代、おっぱいくらい重くあってもよいのかも?

(HONZ  栗下直也)