タクシーの中で
偽札をつかまされる

 さて、いろんなことは無事に終わった。

 関西に移動し、中国に戻る前に、空港のカウンターに並びながら、パソコンで中国の京東商城(ITに強い大手ネットショップ)につないで、新しいスマホを注文した。

 夜に北京に到着し、24時間営業のカウンターに行って、Wi-Fi設備を返却する。担当女性に、「今、スマホないんですけど、電話番号、言いますね」といったら、「言わなくていいです」と、設備をピッとしてそれで終わった。デポジットはすぐには戻ってこない。

 この、お金を預けたまま紙が一切ないという状態は、正直、日本人の私にはまだ抵抗がある。が、中国人は全然平気で、みな足早にカウンターを去っていく。私のデポジットも、3日後にちゃんと微信の口座に返金されていた。

 そしてタクシーに乗り込んだ。

 実は中国だと、ここでもスマホが重要なのである。

 今年、中国国内線の飛行機が遅れに遅れて、夜中の3時に北京首都空港に着いたことがあった。そして空港の正規の場所から乗り込んだタクシーで、実に16年ぶりに偽札をつかまされた。

 渡した100元札を古いのに取り換えてくれと言われ、相手から交換に渡されたのがすなわち偽札で、途中でお札を触って気がついたが、車は私の指示と違う、わざとマンションの守衛さんから見えないところに停められていた。

 乗車中も不審な行動や連絡が多く、ケンカしてこのまま車を発車されて殺されたりするより、損したほうがいいと、諦めた。現金支払いだったのは、スマホの電池がもうなかったからである。

 日中ならば北京首都空港からの乗車でも、正規のタクシー乗り場からならまず大丈夫である。しかし深夜だと油断できない。タクシー乗り場よりタクシーアプリで呼んだ車の方が、運転手の過去の乗車記録も確認できて、安全かもしれない。まあ、深夜のタクシーは乗らないのが一番である。監視カメラに顔が映らないので、悪いヤツが多い。

 そして翌朝には、さっそくスマホが配達されてきた。