しかし、ここでも問題があった。
なんと支払う人民元がないのである。
今、日常の銀行カードはスマホ支払いにリンクさせているため、安全を考えて少額しか入れていない。スマホの微信支付はQRコードでの1000元(約1万7000円)以下の支払は、暗証番号を入れなくてもピッとするだけで、基本的にそのままお金が移動してしまう。
また相手が金額を入力する場合だと、詐欺も間違いもある。先日も、平均客単価500円ほどの麻辣〓(〓の字は湯の下に火、辛いおでん)の店で、約10万円をピッとされ、そのまま気づかず去った女性がネットで話題になっていた。
中国の銀行のパソコンサイトから、支払用のカードにお金を移動しようと思ったが、やはりスマホのショートメッセージの認証が必要になっていた。自動的にナンバーの変わる暗証キーも手元にあるのに、である。
クレジットカードはナンバー流出が怖く、私は中国では基本的に使わない。今は家に現金も置いていない。昔の中国では現金がないと救急車にも乗れないし、政変に備え、脱出のエアチケットを買えて動けるお金を常に手元に準備していたが、今はスマホのほうが重要。
しかし、これ、いつどこでだれが何に消費したか、全部わかるし、政府に電話番号と口座を押さえられたら万事窮すである。
パスポートを持って、銀行に行こうと思い、代金引き換えで配達に来た男性に、
「今、手持ちのお金がない。夜の配達の時に受け取るわ」
と言った。