彼らは1日に2回配達している。すると何も説明していないのに、「いいよ。先使えよ」。
顔見知りとはいえ、こういうところが中国人である。
“魔法の杖”が戻って一安心
中国でスマホをなくすのは恐ろしい
新しいスマホにSIMカードを挿したとたん、微信は復旧し、友人知人に返信を送り、銀行アプリでお金を動かしたり、ついでにお昼ご飯の配達も頼んで、まるで“魔法の杖”が手に戻ったようである。
午後には近所の店で、水没したスマホも修理してもらった。おっちゃんは私がカウンターを離れたすきに、スマホの中の写真を勝手に見て、「日本人、日本人」とうれしそうだった。
北京の日本大使館のパーティで撮った、着物を着た日本女性たちの写真があったからである。
今回、スマホそのものをなくしたわけではないから焦らなかったが、現在、中国でスマホを紛失し、そこから支付宝や微信支付、銀行アプリの暗証番号を解析され、または簡単にできる送金で大金を移動されたケースは少なくない。
今は中国在住の日本人も多い。スマホをなくしたら、銀行より何より、まず電話会社に携帯番号の紛失届をすること。私が何もできなくなったように、これで基本的にパソコンや他の端末からも、お金やSNSの操作が不可能になる。それから、銀行アプリや支付宝、微信支付を停止していく。
いくらスマホに複雑なロックをかけていても、SIMカードを外して、他のスマホに入れて、それで短信の暗証を取る操作をすれば、お金関係のハックは簡単である。
今、中国でスマホを失くすことは、財布をなくすより、よほど恐ろしいのである。