もともと厳しすぎる
地方の生活保護の暮らし

 都市部と逆に地方では、今回の生活保護基準見直しで、保護費が引き上げられる可能性もある。まずは、地方で暮らす受給者の現在の暮らしぶりに耳を傾けよう。

「40代のときに肉体労働の出稼ぎでヘルニアを患い、50歳のときに背中を痛めてしまいました。腰と背中をやられて働けなくなったので、生活保護で暮らし始めました。食費を切り詰めるために、近所のスーパーをハシゴすることもありますが、車がないので行けるスーパーが少ないです。冬の暖房は灯油ストーブです。灯油は昨年より1リットルあたり20円以上高くなりました。でも寒さが厳しいので、ストーブを使わないわけにはいきません」(北海道・男性・50代・単身)

「腰を痛めて仕事ができなくなりました。妻はうつ状態で、小学校高学年の子どもがいます。生活はギリギリで、子どもの鉛筆を買うのも大変です。中学生になったら、費用がさらにかかるので、心配です。子どもは育ちざかり、食べざかりなので、私たち夫妻が食べるのをガマンしています。働きたくても働けないので、今は生活保護しかないのですが、自分たちはガマンできても子どもがかわいそうです」(福岡県・男性・年齢不明・妻子と3人暮らし)

 生活保護世帯の世帯主の最終学歴に関する調査結果は少ないが、「働ける」とされる年齢層の場合、少なくとも40%は高校中退、または中卒と見てよいだろう。そもそも、有利な就職や安定した就労継続が難しい。その就労からも押し出されると、生活保護しかなくなる構造がある。

 生活保護で暮らす人々の過去は、叩けばおおむね埃が出る。非難しようと思えば、「ツッコミどころ」だらけであることが多い。しかし話を聞くと、生まれ育った環境の問題、不十分な教育、安定した職業生活からほど遠い就労などの不利が重なっていたところに、病気、負傷、失職、被災など「自己責任」とは言いにくいトラブルが重なり、最終的に生活保護以外の選択肢を失う成り行きとなっていることが多い。時間をかけて「アリ地獄」に落ちているかのように見えることもある。