在米外銀の見解をまとめている国際銀行インスティチュート(IIB)は、BEATが在米外銀の業務縮小と再編を促すとして、BEATの見直しを要請した。だが、与党・共和党は、過去30年間で最大の変革となる税制改革法の早期成立を最優先させ、細部の調整が十分になされなかったとみられている。

「BEATによって税金分が上乗せされ、米国投資は確実にコスト増になる。このため、特に短期の円投/ドル転スワップでドル調達し、米国証券投資をしている部分については、投資を手控えたり、保有分を売却するという選択肢がありうる」と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員、廉了氏は話す。

期待薄の米債投資回復

 こうした動きは、為替スワップ取引において、ドル需要の低下を意味し、ドル調達に関わるベーシス(日米金利差からの乖離幅)の押し下げに影響を及ぼしている可能性があると廉氏は言う。

 昨年末、ベーシスは1ヵ月物でリーマンショック以来の高水準となる250ベーシスポイント(bp)台、3ヵ月物でも約100bpまで上昇した。しかし、その後は年末・年始を挟んで大幅に低下し、現在はそれぞれ、24bp、29bpと低位安定している。

 例年、ベーシスは、年初から2月にかけて低下する傾向があるものの、足元の低下について、市場では「対米証券投資のトレンド変化のみならず、米国の税法改革などの影響も考えられる」(国内銀行)との見方が浮上している。

 日本勢の外国中長期債の取得は2017年暦年で1.12兆円と16年の20.95兆円から18分の1に急減。世界的な低金利による運用難もあるが、米債に関してはドル調達コストの急上昇も需要減の大きな要因となった。

 円投/ドル転スワップなどのクロスカレンシースワップは、外国証券投資だけでなく、外貨建てローン等の資金調達にもしばしば活用される。外貨建てローン残高は、大手行で13年末の5699億ドルから17年8月末には7905億ドルに拡大しているが、増加ペースは鈍りつつある。

 足元、ドル調達コストが低下していることによって、日本勢による米債投資や外貨建てローンの需要回復を予想する声もある。しかし、調達コスト低下の要因が米税制改正による新たなコスト増懸念であるなら、急速な需要回復は難しいかもしれない。

(森佳子 編集:伊賀大記)

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