しかし残念ながら、私自身が現場の中で見てきた事実だ。現在は設計コンサルタントを生業としているが、もともとは街のペンキ屋の息子。父は、地下足袋姿の職人で、私自身は初めにゼネコンに就職して現場所長を経験し、そのあと父のペンキ屋を継いだ。現場所長時代も、ペンキ屋の親父時代も「談合」は業界にいる限り、見えないことなしでは生きられない「空気」のような存在だった。

 ゼネコンの一社員なら当然のこと、一応、独立経営者としての塗装屋でも、よほどの回転資金と安定した受注先でもない限り、拒否すれば干上がってしまう。自分もこれを避けることのできなかった悔いもあって、リベートを求めない設計コンサルタントを宣言している。

 一旦、管理会社とのコネなどで、つまり競争原理の働かない方法で、設計監理契約を勝ち取った設計コンサルタントにとっては、管理組合の修繕積立金口座は「自分の財布」のようなものだ。

 だから、常識的に数百万かかる設計料を無料で引き受けたって十分ペイするのだ。目先の設計料の安さで騙されて億単位の損失を被ることのないように目を光らせていただきたいのだ。

 設計監理を請け負ったコンサルはまず、主催した「出来レース」で決まった、総合請負会社(元請け)から10%のリベートを受け取る。しかしそれだけではない。

 コンサルは元請けに、ペンキ屋とか防水屋などの下請け会社も指定して、その下請けに対しても10%を要求する。さらには、「仕様に忠実に…」とうそぶき、部材はメーカーも材料も指定する。なんの事はない、コンサルにマージンを支払う材料メーカーに決めさせるためだ。そこでも10%を要求。もちろん、発注者であるマンション管理組合以外は誰も損はしない。競争がないのだから、マージン分は価格に織り込めばいいだけの話だからだ。

実数精算方式で水増しされる下地補修費
検査合格などでの個人リベート、接待要求も

 しかし、それだけで驚いてはいけない。実際の施工ではもはや違法行為としか言いようのない「水増し」さえ行われることがあるのだ。