ベトナム 2018年3月14日

ベトナムでバイクをネット通販で購入した結果は大正解だった!ベトナムでバイクを買う【後編】

簡単過ぎて逆にガッカリするほど

 ただし「自宅までの無料サービス」の恩恵には預からなかった。「いつ届けてもらえますか?」と連絡したところ、「届けてもいいんだけど……、運送中に何かが起こっても保証はできません。どうしますか?」と聞かれたからだ。
 
 購入までがあまりにもスムーズ過ぎて不気味に感じていただけに、「ああ、これでこそ、ベトナム」と、むしろ少し安心した。私としては「どんな業者なのか見てみたい」という好奇心もあったので、次の日曜日に妻とともに販売店を訪れた。

 連絡をもらった住所はタンフー区。ホーチミンシティの中心部を起点にすると北西の方角になる。ダムセン公園という大型テーマパークの近くだった。我が家からはバイクで40分ほどの距離だ。
 
 到着してみると普通のバイク屋さんで、50台ほど新車のバイクが並んでいる。「怪しい倉庫か何かなのでは?」と身構えていた私は、拍子抜けした。

 お店に着いて妻が「ラザダでバイクを購入した者です」と名乗ると、「はいはい、ラザダのお客さんね」と、すぐにバイクが出てきた。
 
 外国人である私がバイクを購入するのは、手続きが非常に面倒なので、ベトナム人である妻の名義で購入した。手続きにかかった時間は10分ほど。メンテナンスの仕方、運転上の注意など、販売店の人はとても丁寧に説明してくれた。こうしてバイクを無事手に入れ、家まで乗って帰った。

 オンラインショッピングを利用したことはあるが、今回のような高額商品を購入したのは初めてだ。結果としては大正解だった。

私がバイクを買った店。もちろんラザダだけでなく、リアル店舗としてもバイクを販売しており、妻が手続きをしている間に、バイクを買いに来ているお客さんが何組か訪れた【撮影/中安昭人】

オンラインショッピングの課題と展望

 最後に、ベトナムのオンラインショッピング事情に関する興味深いレポートを紹介したい。いろんな組織が様々な角度から調査を行なっているが、ここで取り上げるのは、アジアプラスというベトナムで活動するマーケットリサーチ会社が行なった「All about online shopping in Vietnam - Vietnam EC Market Survey(ベトナムのオンラインショッピング調査)」というものだ。ホーチミンシティとハノイに住む500人(18~39歳)を対象に行なったもので、調査時期は2016年7月。

 これによると67%がオンラインショッピングを経験しており、23%が「週に1回以上利用」と回答している。オンラインショッピングを利用する理由としては、1位が「いつでも買える」(47%)、2位が「どこでも買える」(41%)、3位が「幅広い品揃え」(40%)となっている。これは私の実感とも一致する。

 逆に「利用しない」という人の理由としては、「品質に関する不安」が57%で圧倒的に高い。これもうなずける。少し前のベトナムでは、工場で作られている製品でも品質にばらつきがあった。だからベトナム人は「買う前に実物を確かめる」ことに対するこだわりが強い。

 結婚後、日本に移住してきた妻が、文房具売場に置かれている「試し書き用のペン」を見て、首を傾げていたことを思い出す。
「これはちゃんと使えても、実際に買ったものが不良品かもしれないから、試し書きなんて無駄」
というのである。

 実際、ベトナムでは同じペンでもインクの出方に違いがあることは珍しくなかったから、「実物で確認する」は必須だった。それができないにもかかわらず、オンラインショッピングの普及が進んでいるのは、ベトナムで売られている商品の品質が安定してきたからだろう。

 アジアプラスの調査結果で、興味深かったのは「支払手段」である。85%の人が、商品の受け取りと引き換えに代金を支払う「代引き」を選んでいるのだ。オンラインショッピングというと、私は「クレジットカード決済」と考えてしまうのだが、その比率はわずか6%にとどまっている。

 これはそもそもクレジットカードの普及率が低いのに加え、「品物を受け取るより先にお金を渡すのは心配」というベトナム人の意識が大きく影響しているに違いない。クレジットカードで支払うとなると、これは一種の先払いだ。「お金は引き落とされたのに、商品が届かなかったらどうしよう?」などと心配してしまうのだろう。しかし決済手段への信頼も徐々に高まっている。

 私の周囲のベトナム人を見ると、オンラインショッピングサイトの利用者は、確実に、そして急速に増えている。
 
 実は私自身、ベトナムで生活するうちに「買う前に実物を確認」「支払いは現金で」というのが身についてしまっている。しかし今回、バイクという大きな買い物をして、オンラインショッピングに対する抵抗が薄れた気がする。このようにして、ベトナムでもオンラインショッピングは、根付いていくのだろうと感じた。

バイクの量販店。オンラインショッピングが普及すると、こういう店は生き残りに知恵を絞ることになるのだろう【撮影/中安昭人】

(文・撮影/中安昭人)

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筆者紹介:中安昭人(なかやす・あきひと)
1964年大阪生まれ。日本での約15年の編集者生活を経て「ベトナムスケッチ」(現地の日本語フリーペーパー)の編集長として招かれ、2002年7月にベトナムへ移住。その後独立し、出版および広告業を行なう「オリザベトナム」を設立。 2000年に結婚したベトナム人妻との間に娘が1人おり、ベトナム移住以来、ホーチミン市の下町の路地裏にある妻の実家に居候中。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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