こうした数字の裏には当然、東日本大震災とタイの洪水によるサプライチェーン混乱の大きな影響がある。だが、日系メーカーでホンダ、トヨタのみが前年割れになったのは、天災だけが問題ではないという声もある。ある日系メーカーの商品企画関連の幹部はこう漏らす。

「北米市場で、トヨタとホンダは互いに意識し過ぎる。その結果、商品がコンサバになってきた。そうした守りの姿勢に対して、リーマンショックで破綻、または大きく落ち込んだ米3社、また韓国系(ヒュンダイ、キア)は、商品として大きく飛ぶことができる。そうした差が最近、ハッキリ見えてきた」

コンサバ化するホンダ、トヨタを
フォードや韓国勢が「差別化」で猛追

 確かに、最近のホンダ車は、特に世界戦略車で「飛び感」が少ない。換言すれば、ホンダの商品イメージが世界市場で確立されてきた。そうしたイメージを確立する過程で、各セグメントの商品でトヨタ車に対する強い対抗意識を持ってきた。特に北米市場でその傾向が強い。筆者は過去、北米内の各メーカのディーラーを取材してきたが、この10年間ほど、ホンダとトヨタは販売現場でも互いに強く意識している。

ホンダ「アコード」(日本のインスパイアに相当)、コンセプトモデル発表。同会見場での、アメリカンホンダ、岩村哲夫社長。
Photo by Kenji Momota

 こうしたトヨタへの意識について、今回のショーでホンダ「アコードコンセプト」記者発表後に、北米でのホンダ事業本部であるアメリカンホンダの岩村哲夫社長に話を聞いた。「弊社からのアウトフロー(他社への顧客の流れ)では、最もアウトフローが多いのはトヨタだ。弊社と顧客層が非常に似ているからだ。また最近、(トヨタ以外への)アウトフローが少し増えたが、それはフォードと韓国系が多い」(岩村氏)という。

 また今回のショーでは、フォードがホンダ、トヨタに対してかなり強い口調で攻めの姿勢を取った。

 フォード「フュージョン」の発表記者会見で、同車のライバル車であるホンダ「アコード」、トヨタ「カムリ」の販売動向をグラフで紹介。そのなかで昨年後半、東日本大震災とタイ洪水の影響が少なくなってからでも、「アコード」、「カムリ」はシェアを失い続けていると説明した。そしてフォードは、北米市場がいま、大きく変化していると指摘。北米市場の1/3を占める、ミッドサイズセダン(業界用語では、C/Dセグメント)とミッドサイズSUVで、そうした変化は顕著に現れているという。