南こうせつのデビュー40周年と還暦、ダブル・メモリアル・イヤーに因んだ野外コンサート「サマーピクニックフォーエバーinつま恋」が9月20日に静岡県・つま恋で開催された。入場者は約2万人。南本人と日本のフォーク史の記録に残るイベントだったと言っていいだろう。

南こうせつ

 今回のサマーピクニック開催は、南が2008年1月、日本武道館公演のステージ上から「宣言」した。ファンにしてみれば1年8ヵ月の猶予期間があったわけである。スケジュールを調整し、移動手段と宿泊場所を確保して全国から静岡を目指した。つま恋内にあるホテルはもちろん、掛川市全体から隣の菊川市に至るまで、当日の宿泊施設は早々と予約が殺到し、キャンセル待ちも不可能なほど完全に埋まった。当日の会場ゲート前は早朝から長蛇の列となり、会場時間を30分程繰り上げて開門したという。前日から徹夜で並んだファンもいた。

 13時。開演を告げる花火が打ち上げられ、真っ赤なジャケットに石榴の花が描かれたギターを抱えて南が登場。オープニングはサマーピクニックのテーマ曲『あの日の空よ』。 「みんな体調管理はしっかりね。医者はたくさん待機しているから、最後までぶっ通しでいくよ!」と南が宣言、7時間にわたるコンサートはスタートした。

つま恋に2万人が集った19年振りの『サマーピクニック』

 40年間のディスコグラフィは分厚い。その中から、かぐや姫時代の『神田川』『妹』からソロ時代初期の『夏の少女』『夢一夜』、近年の『友の唄が聞こえる』『雨に漕ぎ出そう』、最新曲『二人のラプソディ』(テレビ東京系「ミューズの晩餐」エンディングテーマ)、そして故・阿久悠とのコラボ『風に吹かれて ~再会編~』に至るまで、アンコールを合わせ、ソロだけでも30曲以上を昔と同じキイで歌った。

 ゲストも続々と駆けつける。事前に発表されていた伊勢正三、イルカ、尾崎亜美、小田和正、坂崎幸之助、夏川りみ、BEGIN、松山千春、ムッシュかまやつ、森山良子、山本潤子に加えて、加藤和彦と杉田二郎も登場、それぞれの代表曲で会場を盛り上げる。多彩な顔触れは南の交流の幅と深さの賜物だ。

 豪華なメンバーが集結したからこそのセッションは、イルカの大ヒット曲『なごり雪』に、作詞・作曲者である伊勢と南の参加。『涙そうそう』は夏川、作詞の森山、 作曲のBIGINで披露される。

 体調不良で自宅療養中の吉田拓郎については「昨日拓郎と電話で話したんだけど、元気でした。誘ったけれど上手くかわされちゃった」と、順調に回復していることを報告。南が『夏休み』を歌い、吉田にエールを送った。