東京で家を買って失敗する人、成功する人の違い家選び(戸建・マンション)で失敗・転落していく人のほとんどは、「資産価値」「安全性」を重要視せず、住み心地や居住性といった、自分にとっての「利用価値」のみを基準に物件選びをしている(写真はイメージです)

要約者レビュー

 人生でもっとも大きな買い物といえば「家」――そう答える人はきっと多いに違いない。

東京で家を買って失敗する人、成功する人の違い『東京で家を買うなら』
後藤一仁、272ページ、自由国民社、1500円(税別)

 賃貸物件で一生暮らす、あるいは実家に住むつもりの人でなければ、結婚や子どもの誕生などライフステージの変化に合わせ、「マイホーム」への憧れを抱くものである。とりわけ東京に家をもつことはステータスだといわれている。我が家を手にすることが、人生のさらなる励みになるという人もいるはずだ。

 ところが不動産会社の営業マンに乗せられるがまま、深く考えることなく家を購入してしまい、あとから後悔する人が後を絶たないという。人生でもっとも大きな買い物であるにもかかわらず、である。家を購入したことで幸せになれる人と、転落してしまう人の違いはどこにあるのか。

 本書『東京で家を買うなら』は、東京で長らく不動産に携わってきた著者による、物件購入を成功に導く渾身の指南書だ。初心者にもスルスルと読みやすい筆致が心地よく、「家の買い方は全国どこでも同じではありません。東京には東京の買い方があるのです」というキャッチコピーには説得力が感じられる。これ一冊を読めば、「東京での家の買い方」が理解できるようになるだろう。

 ここ数年、夫婦やファミリー世帯のみならず、独身でマンションを購入する人も増えた。ぜひ本書で、「幸せになる家選び」のポイントやコツに触れてみてほしい。 (田中 佐江子)

本書の要点

(1) 「家を買うこと」そのものを目的にするのではなく、「家を通じ、自分と家族が幸せになること」を目的とするべきである。
(2) 幸せになる家選びには、「資産価値」「安全性」「利用価値」という3つのポイントが存在する。
(3) 「利用価値」だけではなく、「資産価値」も重視しなければならない。
(4)東京の特徴は、「西高東低」「南高北低」「同心円状」である。
(5) 「家を買う」にあたっては「建物を買う」という意識も大切だが、もっと重要なのは「駅を買う」「街を買う」「地域を買う」という発想だ。