地域の外交官や安全保障専門家の一部は、この声明が意味するところは、中国軍の活動強化や南沙(スプラトリー)諸島で中国が拡大する施設の早急な軍事化だと受け止めている。

 米政府側は、航行の自由パトロールは国際法執行のため「定期的」に実施しているものだとして、中国を念頭に置いた発言は避けた。だが中国側は、米政府による挑発だとして素早く反応した。

 中国共産党機関紙「人民日報」は22日、最近の平和と協力関係を乱し、「いたずらに問題を起こそうとしている」として米国を批判。中国は、戦略的に重要なこの海域で今こそ存在感を高めなければならないと主張した。

建設と軍事化

 中国は近年、南シナ海の岩礁や小島の数カ所で人工島を造成し、大規模な滑走路や基地の建設を進め、年間3兆ドル(約330兆円)規模の通商の航路となっている同海域ほぼ全域への領有権の主張を強化しようとしている。この海域では、ほかにフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイと台湾がそれぞれ領有権を主張している。

 中国の沿岸警備隊や人民解放軍の海軍艦船は、南シナ海の広範な海域で哨戒活動を行っており、米国や他の国の海軍艦船の動きを定期的に追尾していると、地域の海軍関係者は言う。

 香港嶺南大学の張泊匯教授は、中国側がトランプ氏のアジア戦略の先鋭化に揺れており、最近は比較的平穏な状態が続いていたものの、南シナ海で「行動」したくなっている可能性があると指摘する。

「中国は、報復としてさらなる軍事化を進めるかもしれない」と、張教授は言う。

 米国は先週発表した新たな国家防衛戦略で、中国とロシアという独裁的国家の台頭に対抗する重要性を強調し、こうした国の強圧的行動に対して、同盟国や新たなパートナーをより強く支援する必要性を説いた。

 ほとんどの専門家や外交官は、中国が引き続き、圧倒的な軍事力を持つ米海軍と南シナ海で実際に衝突する事態を回避しようとしているとみるが、一方で中国は軍事力の差を縮めようとしている。

 中国は、南沙諸島に新たに建設した滑走路にバンカーや格納庫、高性能レーダーを設置した。ただ、北方に位置する西沙(パラセル)諸島に導入したような高度な地対空ミサイルや対艦ミサイルなどは設置していない。

 同様に、中国政府はまだ南沙諸島に戦闘機を着陸させていない。今年、試験飛行が行われると予測する専門家もいる。