マテティッチ・ヴィンヤード
Matetic Vineyards

丘の中の心優しき「王国」

(左)ワイナリーからの夕景。この美しさもワインに反映されているような錯覚。(右)左から、ワインメイカーのエマヌエルさんと輸出部長のディエゴさん。ストイックな印象もあったワイナリーだが、とてもフレンドリーだった

 もともと農業生産やリゾートホテル経営で財を成したファミリーが、99年にスタートさせたワイナリー。本拠地のロザリオ・ヴァレー周辺の温暖さと冷涼さを併せ持つ気候と、オーガニックに適した土地からワイン造りの成功を確信。

 現在周辺に広がる4つの自社畑は海岸線から13㎞〜19㎞の間にあり、冷涼な空気がヴァレー沿いに丘を包み込む。このワイナリーの、特にシラーにおける世界的な成功が、チリのクールクライメイトへの挑戦に勇気を与えたという声もある。

 代表する2つのライン、親しみやすい『コラリージョ』と「均衡」を意味する『EQ』。この旅の中での私的ベスト・オブ・シャルドネだったのは『EQシャルドネ』。

(左)丘陵の地形を生かし自然の中に溶け込むように設計された醸造施設。(右)マテティッチのラインアップから。明確なコンセプトがあってアクセスしやすい。ワイナリー名の日本での表記は『マテティック』

 グラスに注ぐと一気に熟れたトロピカルフルーツに白桃のタルト、ウォールナッツとキャラメルの焼き菓子のような複雑で濃厚なコアを感じさせながらも、キラキラとした爽快感、美しく静かに長く続く酸の余韻へと変化していく。

 クールクライメイトならではの凝縮と酸を、華やかさと集中力の均衡で見事に仕上げたワインだった。他のワインも樽の使い方が絶妙。エフェクトをかけすぎず、冷涼エリアかつバイオダイナミックで育んだブドウの良さを丁寧に引き出す。この土地を信じて世界へ発信する。モダンなワイナリーながら真摯な取り組みが感じられた。