錦織の身長は178センチ。マレーは190センチ。技術が同等ならサイズが大きい方が有利だ。その分ショットのパワーやスピードは増すし、カバーできるエリアも広くなる。今大会で優勝したノバク・ジョコビッチ(セルビア)は188センチ、準優勝のラファエル・ナダル(スペイン)は185センチ(この決勝戦もフルセット5時間53分の死闘で凄かった)、ベスト4のロジャー・フェデラー(スイス)は185センチ。錦織がトップ4の牙城を崩すにはサイズの差をどう技術で埋めるかが課題になる。

 体格の差はどうすることもできないが、克服することは不可能ではない。1980年代後半から90年代にかけて活躍した選手にマイケル・チャンがいた。中国系アメリカ人で身長175センチと小柄だったが、190センチのボリス・ベッカー(ドイツ)や185センチのピート・サンプラス(米国)と対等に戦い、全仏で優勝1回、全豪・全米でも準優勝した。

 これといったスーパーショットはなかったが、拾って拾って拾いまくる粘り強いテニスで世界の頂点に立ったのだ。もちろん20年近く前の話だし、プレースタイルが変わった現在の参考にはならないが、サイズの差も戦い方次第では克服できるという希望にはなる。

 錦織もグランドスラムの準々決勝を経験したことで課題が明確になっただろう。サイズの差をどう埋めるか。技術や戦い方を研究し、さらなる磨きをかけるに違いない。今年はその成長ぶりが見られるシーズンになる。今後のATPツアーやグランドスラム(全仏=5月27日~、ウインブルドン=6月25日~、全米=8月27日~)が楽しみになってきた。