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アイドルの追っかけ
恋人はバンドマン

 Bさん(23歳女性)は男性アイドルグループの追っかけが生きがいであった。地方の公演には必ず同道し、握手券を多めにゲットしては運営側の利益に大きく貢献していた。それら資金を稼ぐためだけに仕事をしているといっても過言ではなかった。Bさんには2年付き合っている彼氏がいたが、「アイドルの追っかけはそれとは関係ない」(Bさん談)とのことである。

「彼はビジュアル系のバンドマンで、私の追っかけについては見守ってくれる姿勢というか、あまり興味がないというか、『お互い好きなことをやろう』という感じでした。私は彼のバンドもそれなりに応援していましたし」(Bさん)

 こうした関係はBさんと彼氏にとって心地よいものだったらしい。勝手な先入観だと“ビジュアル系バンドマン”といえば女性関係に華やかそうな印象があるが、Bさんはそのあたりのことについてこう考えていたようである。

「実際、女の子のファンが中心になって彼のバンドを支えていましたし、女遊びの激しいメンバーもいたようです。でも、少なくとも彼は私の前では一途に見せてくれていましたし、実際はどうだったか知りませんが、私を安心させてくれている以上は裏で何をしていても許せる気でいました。ファンの女の子への嫉妬っていうのはなかったです。『公にはできないけど私が彼女なのだ』という優越感が強くあったので」

 Bさんは変わらず追っかけに精を出した。彼氏とともにそれぞれの理由で常時、金欠気味であったが、それなりに幸せにやっていたようである。

「SNSで知り合った同じグループ“推し”の女の子と2人で、日本全国追っかけまくりました。ライブ会場で知り合いになる女の子たちとも仲良くなり一緒に盛り上がって、グループの活動を盛り上げるために宣伝や布教を行ったりと、あの2年間は本当に充実していて楽しかったです」