まだまだキャラクターIPのライセンスのビジネスで大きな金額が一度に動くということはありません。今のところは、ユニクロのTシャツや、ケロッグのシリアルの箱にマリオを採用してもらうくらいで、そこから使用料をいただく程度で、金額面でそれほど大きくはないです。

――事業構造としてゲーム以外の収益も増やしていく考えですか。

 もちろんそうです。これからもわれわれのキャラクターを色々なデザインに使っていただきたいと思っています。

 ただ、一部の収益にはなりますが、大きな狙いは、われわれのキャラクターに人々が触れる機会を増やすことです。そうしてキャラクターに親しんでもらえれば、将来はゲームで遊んでもらるだろうと。まずはIPに触れてもらうのが大事です。

――岩田聡前社長が「任天堂らしい利益水準」として目安にした営業利益の1000億円を今期は悠々と超えることになりますが、次の目標は。

「任天堂らしい利益水準」という話はずっと前からあります。それについて私なりに感じているのは、営業利益1000億円は、われわれが通過しなければいけない数値ということです。

 任天堂のビジネスは常に右肩上がりでどんどん売り上げが増えていくようなものではありません。スイッチだって何年か経ったら必ず飽きられます。次に面白いものを作らなければ必ず廃れてくる厳しいビジネスです。

 でも、任天堂は次にまた面白いものを作って、必ず爆発的に売れるものを作ります。その時に営業利益は1000億円をまた超えていく。そういうビジネスのネタをいくつも仕込んでいかないと任天堂は存在意義がなくなってしまいます。

 だから1000億円に達したらいいんだという考えは全く持っていない。少なくとも1000億円は超えるビジネスの仕掛けを常に持っておく。1000億円とはそういう意味の数字なのです。

君島達己(きみしま・たつみ)

1950年4月生まれ、東京都出身。73年一橋大法卒、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、00年任天堂が出資するポケモン代表取締役、02年から任天堂取締役。米国任天堂会長、任天堂常務経て、55歳の若さで死去した岩田聡前社長の後任として15年9月から現職。