こうした反応は日銀内部も同じだ。だが、彼らの目線はその先、新体制の政策に向いている。黒田総裁が、自分のまいた“種”の後始末を、いつ、どのようにするのかという点に注目しているのだ。

1月に超長期ゾーンの
買い取り減額を決めた日銀

「政策の主導権は、すでに金融市場局などの現場に移っている。日銀のプロパーは、異次元緩和を1日でも早くやめたがっているし、実は黒田総裁もその流れに乗っていると見ていい」

 日銀元政策審議委員の、こうした言葉を実感させるような出来事が、1月9日に起きた。この日、実施した金融調節で、日銀は超長期ゾーンの国債買い入れの「減額」を決めたのだ。

 黒田総裁が進めた異次元緩和政策は、日銀が銀行などから大量の国債を購入して資金を供給することで、長期金利を低く抑え、企業の設備投資を後押したり、「インフレ期待」を醸成して消費を喚起したりすることによって、「デフレ脱却」を目指すものだった。

 しかし、長期や超長期の金利が安定しているさなかに、しかも取引の少ない時期を狙ったかのような「減額決定」は、日銀がそうした異次元緩和政策から脱却し、金融の正常化を目指しているのではないかと映り、この先、金利が上がってしまうのではないかとの見方が広がってしまったのだ。

 というのも、低金利と好景気が併存する今の市場は、市場関係者にとって居心地がいい「適温相場」。そうした中で、日銀が異次元緩和政策からの「出口」を模索するとなれば、話は変わってくる。そのため、為替市場では、円高・ドル安の流れが加速した。

「出口戦略」を意識し、前のめりになった市場の動きを受けて、黒田総裁は1月24日の会見で、「出口のタイミングや、その際の対応を検討する段階にない」と市場を牽制。2月2日には、7ヵ月ぶりに利回りを指定して国債を無制限に買い入れる「指値オペ」を実施して、長期金利を強引に抑え込んだ。