ご迷惑をおかけする方々の思いにお応えするには、我々が出来るだけ早くしっかりした形で再生を果たすことが絶対必要だ、ただひたすらそれに向けて頑張らないといけない、という気持ちが、もう決定的に強かったような気がします。だからそういう意味で、一番最初の社長就任会見で何を話したかと言ったら、「我々はもう過去とは決別します」と。日本航空というものを再度作り上げさせていただく最後のチャンス、それも一回きりのチャンスをいただいたという気持ちでいっぱいでしたね。

――JALでは2010年の6月から、まず大西社長も含む役員全員と部長クラスの経営幹部約50人を対象に、リーダー教育を実施した。もちろん稲盛会長も、数回にわたって、講義を行った。大西は稲盛から何を学んだのか。

大西 大きく言って二つあります。一つは非常にベーシックなことかも知れませんが、意識を変えていくことが非常に大切だと言われたこと。もう一つは、組織自体が、従来は必ずしもその責任が明確になっていなかったということですね。そういう意味で組織改革をやっていった。

 従来から稲盛会長が言われている「アメーバ経営」、つまり「部門別採算制度」の導入が組織改革に当たるわけですが、その組織改革を意訳すれば、責任を明確にする。逆の言い方をすれば、組織員一人一人がやり甲斐、生き甲斐が感じられる。つまり、責任が明確になるということは、自分のミッションが明確になって、それをやったかどうかが分かりやすい組織になっている。そういう視点で組織というものを考えるべきだということです。ミッションが明確になっているから、一人一人がミッションにチャレンジしようとする。部門別採算制度は、組織の1単位をどんどん小さくできるのだけれども、そういう単位のなかで、いわゆる将来の経営者が育っていく。

 従来の我々のやり方はどうだったかと、計画を作る人は作る人、その計画をこなしていく人はこなしていく人という感じだった。そうではなくて、どんなに小さい組織でもいいので、例えば我々の今年度の目標は「こうだ」ということを、自ら積み重ねていくことができるような、組織単位にすべきであるということですね。