今日みんなが食べとるお弁当
一体いくらや

――改革のもう一つの柱が部門別採算制度。制度の仕組みは次回以降に譲るとして、現在、JALでは月に1回、全役員、本部長、グループ会社の社長らが出席して、「業績報告会」がおこなわれている。そこはJAL経営層へ経営指導を行う稲盛道場ともなっている。

大西 毎月毎月、部門長が自分たちの成績を持って報告会をやっているんです。今はもう、どんどん拡大して、朝から晩まで3日間やっている。それはもう、みな真剣に話をします。何をしゃべるかといったら、直近1ヵ月の実績、来月の予定、それから翌々月の見通し。1ヵ月前の報告などは、もう、盛りだくさんです。「何やった、かにやった」とか、「非常に細かいところまで、気を配ってこういう努力をした結果、これだけの効果が出ました」と。

 それをみなが聞いていますから、「なるほど、そういう視点があるのか」という気づきになります。そしてある部署が頑張っている事例を挙げると、その報告会を通じてわーっと他の部署へ横に広がる。

 稲盛会長は3日間全部、出席するのですが、ほとんど例外なく、各部・各セクションの報告に対して、ほとんどコメントされます。これがまた、みなにとっては、当然ながら新たな発見がいっぱいある。航空運送事業に非常に通じている方の発想ではないところからコメントがきますから、我々にとってみたら、とても刺激になる。

 いつも会長は「収入を最大に、経費を最小に」と、言われるんですが、もう一つ言われるのは、ミクロを知らずにマクロを語れるわけがないということです。例えば、部門長になると、やはりマクロ的な視点が多くなるのだけれども、会長の指摘は、ある時は、もう本当にミクロもミクロ。例えば「今日みんなが食べとるお弁当、一体いくらや」と。

 つまり、マクロな数字だけ見ていては、経営はわかるわけがない。ミクロまでしっかりコントロールできて、はじめてマクロが成立する。「そういうところまで立ち入らな、経営はできへんねん」ということを、教えていただいている。