国民栄誉賞、同じ大物なのに「縁がある人」「ない人」の深い事情将棋の羽生善治永世7冠と囲碁の井山裕太7冠に、国民栄誉賞が贈られた。そもそも、国民栄誉賞に縁がある人とない人の違いとは何なのか Photo:首相官邸HP

 将棋の羽生善治永世7冠と囲碁の井山裕太7冠に、国民栄誉賞が贈られた。誰もなし得なかった偉業を達成した人や、国民の誰からも愛された人が受賞する、最高に栄誉があるとされる賞が国民栄誉賞だ。

 1977年に王貞治選手(当時、以下同)がホームランの世界記録を達成した際に創設され、現在までに25人と1団体が受賞している。ちなみに1団体はFIFA女子W杯で優勝したなでしこジャパンである。

 国民栄誉賞は受賞者数が少ないとともに、その選考基準が曖昧なため、「なぜあの人は受賞できないの?」と疑問を持たれる大物が少なくない。結局のところ、国民栄誉賞は「時の総理大臣が選ぶ」賞であり、そのため運・不運があるから仕方がないと言えばそれまでだ。

 しかし、そうした事情を正面から解説すると殺伐とした記事になりかねないので、笑って許されると思われる範囲で、国民栄誉賞が取れなかった人たちに関する「5つのオトナの事情」を解説してみよう。これは私の独断による「ナナメ目線」の考察であることを、予めお断りしておく。

【事情1】
小泉政権が長く続き過ぎたから

 国民栄誉賞については、よく「不人気な内閣が政権浮揚の目的で贈る賞」という政治利用的な面が指摘される。まあ、それはあると言えばありそうなことだが、より悲劇に思えるのは、政権浮揚に苦心しなくてよい長期人気政権の場合である。実は小泉政権の6年間、国民栄誉賞の受賞者は1人も出ていない。