カリブ海に浮かぶ小国・ドミニカ共和国に住み、中南米の新興国を舞台に貿易事業を展開する風間さん。今回は、日本ではコインチェックのNEM流出事件で一気に注目を集めた「仮想通貨」についてのレポートです。
中南米でも存在感を増す仮想通貨
中南米では、アルゼンチンやベネズエラのように、経済的に大きな打撃を受けてインフレに陥っている中で、ビットコインをはじめとする仮想通貨が存在感を増している国がいくつかあり、関連するブロックチェーン技術や仮想通貨界隈のミートアップ、ハッカソン開催などのアクティビティが増えてきている現状があります。
私が住むドミニカ共和国ではまだ仮想通貨の取引所はできていませんが、数年前からビットコインの売買をする人たちが首都サントドミンゴを中心に存在しています。
すでに、サントドミンゴではいくつかのビットコインATMが設置されていて、コインの売買に使われています。これらのATMは、サントドミンゴでスタートアップした企業が、数年前に、スペインのビットコインATM大手であるATMS BITCOIN EXCHANGE社のATMを輸入して設置したのが最初です。この会社は、購入したビットコインを携帯端末で保有しておけるウォレット(財布)アプリも開発しています。

また、サントドミンゴや第二の都市サンチアゴなどを中心に、個人のビットコイナー達が集まるミートアップが毎月のように開催されています。取引所がないため、ミートアップがビットコインや他の通貨を個人的に現金で売買する場にもなっていて、日々参加者が増えている印象です。

現在、私が感じているドミニカ共和国の仮想通貨のミートアップの特徴をまとめてみましょう。少し専門的な話なので、可能なところは説明を加えてみました。
1) ファンド系の仮想通貨の怪しい投資勧誘を狙ってきている人が多い
ミートアップの開催者や中心人物の中には、「利益率が高い」という名目のファンド系投資の勧誘目的の人がけっこう散見されます。どちらかというと、あまり仮想通貨のことを知らないドミニカ人が巻き取られている印象があります。
この種のファンド系の話はあきらかに怪しいにもかかわらず、利益率だけは高いので、楽して稼ぎたいドミニカ人の個人投資家が引っかかってしまい、集団訴訟に発展してニュースになるケースもありました。ドミニカ共和国に限らないのでしょうが、この種の仮想通貨関連の怪しい投資話はどこでも溢れていて注意が必要です。
2) 怪しいICO投資への誘いも増えている
中南米ではまだ、ICO(イニシャル・コイン・オファリング、仮想通貨を利用した資金調達)はメジャーではありませんが、南米のチリやブラジルを中心に少しずつ増えてきています。株式市場がまだまだ未成熟な中南米市場では、新たな資金調達の方法として、この種の市場が代替できる可能性は残されているとは思います。
が、いかんせんICOという市場全体がまだまだ未成熟なため、時間はかかると思われます。法律の整備はもちろん、個人投資家の金融や技術なども含めたリテラシーの教育も必要です。
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