ディズニーランドでは、「オーディオアニマトロニクス」と呼ばれるロボットを多用した、新しいアトラクションに取り組んだ。名物となったエイブラハム・リンカーン米16代大統領の等身大ロボットは、宗教界から「人間のようなネズミをつくるのはまだしも、実際に人間をつくるなど神への冒涜だ」と諌められたほどだ。

 66年、ウォルトは65歳で生涯を閉じた。米国のみならず世界の文化やエンターテインメントのあり方に多大な影響を与えた人生だった。その業績もさることながら、彼は映画、音楽、テレビ、出版、アミューズメント施設、キャラクター商品といった多様な事業を組み合わせた総合メディアコングロマリット(企業集団)を創り上げた稀代の実業家でもあった。

 そして、現代においてもなお、ディズニーは世界のエンターテインメントの中心にいる。また、ゲスト本位のサービスという点でもディズニーは常に手本にされる。
その理由は、ウォルトが遺したDNA、すなわち「ゲストを喜ばせるために、常に新しいことに取り組む」という精神が、今もディズニーという組織に生き続けているからだろう。


稼ぎ頭はテレビ局
総合メディア企業の全貌

「ディズニー」と聞いて、多くの日本人がまず連想するのは、ミッキーマウスや東京ディズニーリゾートでしょう。「白雪姫」などの古典的なアニメ映画や、最近では「トイ・ストーリー」などのコンピュータ・グラフィックスを駆使したアニメ映画を思い浮かべる人もいるかもしれません。

 しかし、どれもディズニーの限られた一面しか表していません。

 ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーはグループ売上高408億ドルと、日本円にして3兆円を超える総合メディア企業です。

 現在、グループ全体の売上高の46%を占め、営業利益の70%を稼ぎ出すのは、メディア・ネットワーク部門。全米3大ネットワークの一角を担うABCを中心にしたテレビ事業です。