銀行OBが独立独歩で活躍し話題、東芝・金融庁へ転身東芝の会長兼CEOへの就任が決まった車谷暢昭氏(左)と、金融庁参与の田中正明氏 Photo by AFP/アフロ、JIJI

「車谷は今いるところで、それほど満足していないらしい」

 2017年5月、三井住友銀行の副頭取を退任した車谷暢昭氏は、英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長兼共同代表に就任した。直近までメガバンクの現役幹部だった人物がファンドのトップに就任するのは初で当時話題になった。

 ところが、それから半年もせずに、メガバンクOBの間で車谷氏の再転身のうわさが広がり始めた。昨秋、ある元メガバンク幹部も「CVCでの現状が当初思い描いていたものと違うようだ」と、今後の動向を注視していた。

 そして、2月14日。うわさは現実のものとなる。ただ、その再就職先は想定外だった。車谷氏は経営再建中である東芝の会長兼CEO(最高経営責任者)に4月1日付で就任することになったのだ。

 今回の一件に象徴されるように、近年メガバンクOBの活躍の場が広がってきている。

 もう一人の代表例が、元三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)副社長の田中正明氏だ。

 金融庁の森信親長官に食い込み、外部の有識者を“社外取締役”として迎えるためのポストである金融庁参与に昨年就任した。