昨年10月頃の経済紙に、強烈な印象を残した記事があった。その大まかな内容は、下記の通りである。

 経済産業省によると、従業員4~29人の企業の製造出荷額は1990年に比べて43%も減っている。産業集積地にある中小の工場も減少が続いている。国内有数の町工場の集積地である大阪府東大阪市では、従業員数が4人以上の工場数が2010年末に2年前より15%減った。東京都大田区では20%、同墨田区では23%、埼玉県川口市では21%、兵庫県尼崎市では19%減った。

閉店相次ぐ近所のショッピングモール

 墨田区に住んでいるので、特に深刻だった墨田区のデータが否応なく記憶に焼きついた。しかし、地元の有力信用金庫の経営幹部から、さらにショッキングなコメントが送られてきた。「あと2年でさらにこれぐらいの企業が消えてしまうだろう」という。

 新年が明けると、家のすぐ近くにあるショッピングモールで閉店する店が相次いだ。妻からも、「中小企業が苦しそうですね。お父さん、地元の企業のために、私たちに何かできることはないのかしら」と、珍しく背中を押された。

 普段は婦人服にはまったく関心のない男の私も、心配せずにはいられなくなり、一店舗一店舗をチェックするようにモールを練り歩いた。閉店の知らせがあちこちに張られている。痛々しい光景だ。頑張っている店も、80%OFF、70%OFFと思いきったセールに出ている。決算セールとはいえ、生き残りをかけた必死さがその赤札に滲み出ている。

 ショッピングセンターはどことなく哀愁が漂っているように感じられた。私にはワイシャツを数枚買う以外に、何の力にもなってあげられなかったが、心の中で頑張れと精いっぱい応援した。