また、リフレ派のひとりは匿名を条件に「若田部氏は、本田氏の強い推薦を受けて安倍首相が副総裁候補に取り上げた」との見方を示すとともに、安倍首相の判断には、中原氏の推薦も影響したとの声もある。

政府は円高防止に力点

 2月上中旬の市場変動でいったん下げた日米の株価は戻り基調だが、ドル/円は106円台を中心とする動きとなり、110円台に戻っていない。日本企業にとっては、業績下押し要因になる。

 ある政府高官は「円高にしないことが、金融政策の最も重要なポイント」と断言する。

 マーケットは一時、日銀の出口模索を懸念し、日銀による国債買入量の小幅削減でも、円高材料として「意識」した時期があった。

 その後、黒田総裁の「火消し発言」が繰り返され、足元の長期金利はは0.04%台まで低下している。

 ある関係者は、黒田新体制が官邸の意向を視野に入れつつ、しばらくの間は現行の超緩和政策と「出口検討」は時期尚早という路線を継続することになるだろうとの見通しを示す。

 政府部内には、財政拡張に積極的だった本田氏が正副総裁に就任しなかったことで、19年10月の消費税率10%引き上げは、現実味が高まったとの見方が出ている。

 だが、アベノミクスを政権発足時から支えてきたリフレ派に対する安倍首相の信頼感は、今回の人事の経過を見ても揺らいでいないようにみえる。

 増税対策で大幅な財政支出の観測も浮上する中、アベノミクスの柱であり続ける日銀の金融政策は、政府との新たな「二人三脚」をスタートさせることになる。

(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)

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