ここには2つの意味が込められていた。必要性や緊急性の低い事業に税金を投じるのは「もったいない」とし、新幹線新駅やダム建設、産業廃棄物処分場の凍結・見直しを訴えた。

 そして、地域の人材や資源を活かさないのは「もったいない」とし、地域に埋もれているものの活用を訴えた。要するに、自らの創意工夫で自らの地域の未来を切り開こうという主張だ。自治の本来のあり方である。

「もったいない」とのフレーズが県民の間に浸透し、嘉田候補の訴えへの賛同につながっていった。そして、大番狂わせとなった。

 完全無党派の嘉田氏が自公民の相乗り現職候補らを破り、初当選した。「対話の会」は知事候補を知事に押し上げることに成功したのである。首長自らが組織し、代表を務める「大阪維新の会」や「減税日本」との違いがここにある。

本来は民意を反映させる目的の
二元代表制が「二元なれ合い制」に?

 日本の地方自治は、首長と議員がそれぞれ住民に直接選ばれる、二元代表制となっている。議会は自治体の最終意思決定の場(議事機関)で、執行機関へのチェック機能や立法機能(条例制定)などを担う。

 一方、首長は執行機関のトップで、予算の編成権や執行権などを握る。双方が緊張関係を保ち、互いに抑制し合うことで、民意をきちんと反映させた政治・行政を実現させるのが、二元代表制の目的である。

 つまり、首長選挙に勝利しさえすれば、首長選で掲げた公約が全て実現できる(議会が首長選当選者の公約を全て認めねばならない)というものではない。もしそうであるならば、議会が存在する意味がなくなってしまうからだ。二元の協議による歩み寄りが不可欠だ。

 また、地方議会には、本来与党や野党もない。議員同士で是々非々の議論を重ね、その上で議会として執行機関に対峙することが求められているからだ。

 しかし、現実はそうなっていない。二元代表制が機能せず、「二元なれ合い制」となっているのがほとんどだ。なぜ、そうした事態に陥っているのか。