圧倒的な多数会派が存在しない状況をつくり、緊張感に満ちた県議会にすることを目標にした。対立やいがみ合いではなく、是々非々による「対話する議会」を志向した。力勝負ではなく、粘り強い話し合いである。

派手さのない「対話の会」は
漢方薬のようにじわじわと勢力拡大

 こうした会の方針に基づき、自前の公認候補だけではなく、嘉田マニフェストに理解を示す他会派の現職議員も推薦候補とした。対話の会はもともとゆるやかな組織で、周辺には自民党支持層もいた。

 一方、嘉田知事は対話の会とは一定の距離を保ち、会の公認・推薦候補を直接、応援することはしなかった。二元代表制を意識しての行動だ(嘉田知事は会の顧問)。県議選の結果は、12人の公認・推薦候補が当選。自民党の過半数割れという目的を達成した。

 07年の県議選以降、新幹線新駅の凍結、ダムの見直し、そして産業廃棄物処理場の凍結といった公約が実現された。嘉田氏は、10年に行なわれた知事選で史上最多得票で再選された。

 また、対話の会は県内の地方選挙に候補を擁立し、議員や首長を増やしていった。現在、県議5人、市町議員14人、市長3人(推薦含む)に上っている。スピード感や派手さ、発信力は今ひとつながら、県内にじわじわと勢力を広げている。漢方薬のような感じである。

 県議会は昨年の県議選で自民党が26議席を獲得し、単独過半数となった。国政批判の直撃を受けた民主党が4議席失ったことによる。対話の会も県議選で議員・議会改革を共通マニフェストに掲げ、「対話する議会」の実現を訴えたが、現状維持に止まった。ここでいう対話とは、議員が住民、首長(執行部)、そして、議員同士で行なうことを意味する。

「新市長が『市長と市議会には、大津市を良くするという共通の目的がある』と挨拶しました。まさしくその通りだと思います。私たちはこれまで通り、是々非々で新しい市長と議論していきます」

 こう語るのは、大津市の谷祐治市議。同僚の山本哲平市議と「清正会」という会派を組む若手の論客である。市議会に本来、与党も野党もないはずだと力説する。