鷺沼駅からあざみ野方面へ歩くとすぐに、駅前再開発がすんだばかりのたまプラーザ駅に着く。駅前に大きなビルがある代わりに、今度は大手同士が同じビルに入居する呉越同舟状態だ。

 業界には同じビルには入居しないという・紳士協定・がかつてはあったそうだが、とっくに消えてしまったのだろう。ここから、あざみ野駅までは、理科実験教室や文章指導教室など、大手学習塾が現在、力を入れる新業態がめじろ押しだ。帰国子女専門の学習塾など、都心以外では考えられないような業態の塾まで並んでいる。「ここの住民は意識が高いので、新サービスを試す絶好の地域」(大手学習塾幹部)なのだ。

 地場の中堅学習塾の中にも、「次から次へと塾が進出してくる。うちの近くにも四谷大塚が進出してきて焦ったが、いざ、ふたを開けてみると、うちを四谷大塚のための補習塾に使う生徒が結構いて、かえって生徒数は増えた」と景気のいい話をする経営者もいる。まさしく・あざみ野バブル・も極まれりである。

 むろん、バブルの様相を呈しているとはいえ、景気のいい話だけというわけではない。

 むしろ先の経営者は例外的存在といえるかもしれない。大手学習塾幹部はこう指摘する。

「あざみ野でも鷺沼でも、看板をよく見れば、半分くらいの塾は無料講習や、授業料1ヵ月無料といった割引が提示されている。学習塾の林立で教室の稼働率は低下しており、我慢比べの状態だ」

中小を草刈り場にして
進む大手の寡占化

 確かに、よく注意して見ると、値引きの表示は少なくない。地場大手4社のホームページを確認すると、1社は3月の授業料と春期講習が無料、1社は春期体験講習無料、1社は2週間無料体験授業をアピールしている。やはり集客に苦労していないわけではない。

「学習塾白書2011-2012」(私塾界)監修者で、学習塾開業コンサルティングを行うPS・コンサルティング・システムの小林弘典代表はこう指摘する。

「大手学習塾は今、中小を草刈り場にすることで、生き残りを図っている。学習塾業界は第2の成熟期に入っており、まだ大手同士が正面衝突することはないが、値引きの体力勝負を仕掛けるなど、中小の市場を奪いにかかっている」