ラベルも以前と異なるクーヨンのピノ・ノワール。ピノもまた潮風を感じる味わい

 80年代以降、ワイナリーの数が増えだし、モーニングトン・ペニンシュラはクールクライメイト(冷涼気候)を生かしたピノ・ノワールとシャルドネの適地として徐々に認識されるようになっていった。今ではこの地に200を超えるブドウ農園とおよそ50のセラードアが存在するという。 

 今から15年ほど前、シドニーでのワイン展示会でモーニングトン・ペニンシュラのピノ・ノワールをテイスティングし、筆者を痛く感心させたのは「パリンガ・エステイト」と「クーヨン」のワインだった。そのクーヨンをマージした「ポート・フィリップ・エステイト」の近代的セラードアで、パリンガのリンズィ・マッコールさんからこの産地のテロワールに関する解説を受けたのは、何かの因縁かもしれない。 

黄色い葉がシャルドネ、赤い葉がピノ・ノワール。もちろん収穫後の景色

 モーニングトン・ペニンシュラは南緯38度に位置する冷涼な地域ながら、三方を海で囲まれた海洋性気候という特種な気候条件にある。冬でも比較的穏やかだし、夏は海からの微風のおかげで暑さが和らぐ。年間700ミリほどの雨はおもに冬から春に集中して降るという。

 一方、土壌的には6000万年前の火山活動で隆起した、おもに玄武岩を主とする火山性土壌を母岩とし、ブドウ畑には堆積した砂から火山性の赤い粘土まで多様だ。現在、900ヘクタールの広さをもつブドウ畑の品種構成は、ピノ・ノワールが50パーセント、シャルドネが20パーセント、残りをピノ・グリやシラーが占めている。