日本のお祭りは見るだけ
参加できないから満足度が低い

「狐の行列」がここまで人気になったのは、先ほど触れた、「タイムアウト東京」のような外国人向けメディアの存在が大きいが、実際にイベントで外国人と接する横田理事や商店街の方たちによると、「ブログなどのクチコミの満足度が異常に高い」こともあるという。

「彼らは神聖な儀式に参加できたということにすごく満足している。行列の最後、王子稲荷に着いてから神楽殿を見て、獅子舞を見て、最後は参加者みんなで“手締め”で解散するんですが、ああいう一体感がすごく楽しいようだ」(前出・商店主)

 元々、外国人に来てもらうことが目的の商業イベントではないから、外国語で「手締め」などのレクチャーはおこなわない。「ガイドや日本に住んでいる友だちみたいな人を連れてくるので、彼らが説明してくれる。いなくても、なんとなく雰囲気で伝わる」とかなり突き放したスタンスだ。このような「塩対応」にもかかわらず、なぜ外国人たちはクチコミで絶賛するのか。横田理事は「敷居の低さ」が大きいと分析している。

「日本の伝統的な行事は、地域の人以外は敷居が高くてなかなか入れないじゃないですか。有名なお祭りなどは特にそうで、もし外国人観光客が勝手に入っていってお神輿でも担ごうものならトラブルになってしまう。でも、うちは伝統などありませんから申し込めば誰でも参加できる。その敷居の低さがいいんでしょうね」(横田理事)

 実はこれは日本の観光政策が抱える問題点を、ずばり言い当てている。

 日本観光を検討する外国人の多くが目にするであろう、日本政府観光局(JNTO)のグローバルサイトで東京の伝統的な祭りを検索をすると、「山王祭り」「神田祭り」「赤穂義士祭」「三社祭り」「池上本願寺御会式」という5つの祭りがヒットする。東京以外の方からすればなじみがないかもしれないが、どれも伝統があり、大いに賑わいをみせる祭りだ。

 では、訪日外国人観光客がこの情報提供に従って、これらの祭りを観光して、高い満足度が得られるだろうか。

 得られないと筆者は考える。もし自分が海外で、現地の祭りを目にした気分で考えてもらいたい。目にした直後は目新しさから興奮するだろうが、何をやっているのもわからず、ただ遠くから眺めているだけではそのうち飽きてこないか。「イッテQ」の「お祭り男」ではないが、祭りとは自らその熱狂の渦のなかに身を投じてみて初めて、その面白さが感じられるものなのだ。