3月5日、ジョージ・W・ブッシュ政権下の鉄鋼関税から、欧州連合(EU)と中国の繊維製品取引を巡る対立に至るまで、世界的な貿易戦争の勃発は恐れられてきた割には、実際にそうした事態になったことは一度もない。写真は2日、フロリダ州パームビーチに到着したトランプ米大統領(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 5日 ロイター] - ジョージ・W・ブッシュ政権下の鉄鋼関税から、欧州連合(EU)と中国の繊維製品取引を巡る対立に至るまで、世界的な貿易戦争の勃発は恐れられてきた割には、実際にそうした事態になったことは一度もない。トランプ米大統領が打ち出した鉄鋼・アルミニウムに高い関税を課して輸入を制限しようという方針も、同じ道のりをたどる公算が大きい。

 ブッシュ政権が導入した鉄鋼関税については、世界貿易機関(WTO)が2003年に協定違反と認定したため打ち切られた。また05年にEUが中国製ブラジャーの輸入抑制に乗り出して起きた紛争は、両者の緊急協議によって一件落着となった。エコノミストによると、今回も結局は貿易戦争にならないのではないかという。

 トランプ氏は昨年1月に大統領に就任して以来、ずっと通商問題で強硬な発言を続けているが、その激しい口調から何か具体的なことが生じたわけではない。

 例えば同氏は就任初日に環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明したものの、元来議会で承認される可能性はゼロだった。また北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉についてしばしばツイッターで離脱をほのめかしながら、今のところ具体的な動きはない。

 残るのは今回の鉄鋼・アルミ、それ以前に承認した洗濯機、太陽電池モジュールに高関税を課す輸入制限措置だ。ただこれらの分野は、米国経済と貿易全体に占める比率は小さい。

 モルガン・スタンレーの試算では、鉄鋼とアルミ、洗濯機、太陽電池モジュールの合計は米輸入額の4.1%にすぎず、世界貿易額においてはわずか0.6%にとどまる。