つまり森友問題やいわゆる「決裁文書」を巡って“詰め腹”を切らされたというわけではない、ということである。

財務省は佐川長官辞任で身軽になり
官邸や経産省に反転攻勢!?

 さて、今回の佐川氏の辞任によって「財務省は森友問題で窮地に立たされた」といった見方があるようだ。

 しかし、筆者からすれば、何度も国会への招致を求められるもこれを拒否していた佐川国税庁長官を、“自らの辞任”という形で財務省から切り離し、ある意味で逃がして、財務省は身軽になったように見える。

 では、その身軽になった財務省、これから何をすることが想定されるかといえば、一言でいえば反転攻勢であり、その矛先は野党ではなく、官邸であろう。

 森友問題、安倍総理や昭恵夫人と、森友学園理事長の籠池氏との関係や、「総理の御意向」を忖度した国有財産の大幅値引きといったことが当初問題の核心とされてきた。しかし国会質疑での答弁者が国有財産管理を所管する財務省理財局長になると、野党からの追及の集中砲火は必然的に理財局長に集まるようになり、いつの間にか森友問題は“財務省の虚偽答弁疑惑問題”にすり替えられてしまった。

 その答弁を中心的に担当したのが佐川氏であり、定期的かつ通常の人事異動であるにもかかわらず、理財局長から国税庁長官への昇任は安倍官邸を守った“ご褒美人事”とされてしまった(佐川氏を含め、直近の国税庁長官は4代続けて理財局長からの昇任であり、過去にも理財局長からという例は見られ、そうしたことからすれば特例的な人事でもなんでもないと言える)。

 かくして財務省は野党のみならず“世論の批判”の標的にまでなってしまったわけであるが、この状態が続けば、森友問題は財務省の現場、つまり近畿財務局の担当職員による不正であると結論付けることができ、そうした担当職員や関係幹部職員に責任を取らせれば問題を収束させることが可能となる。

 しかし、そうなれば財務省にとっては組織を揺るがす一大事であり、地位の低下、影響力の低下は避けられない。