しかし、情報へのアクセスを制限することによってメディアの批判を抑えたり、官僚への統制を強化したりする首相戦略の一部は、裏目に出つつあるのかもしれない。

 自民党内のライバルたちは、今回の「身びいき」スキャンダルを公に批判するなど、威勢を強めつつある。

「安倍首相はメディアに宣戦布告し、メディアは今、復讐しつつある」と、テンプル大日本校アジア研究学科ディレクターのジェフリー・キングストン教授は言う。

 安倍首相の「天敵」と言われるリベラルな朝日新聞は、森友学園への国有地売却を巡る、財務省による決裁書類の改ざんを最初に報じた。

「安倍首相は、官僚の自律性にも宣戦布告した。だが私は、官僚が負けるとは思わない」と、キングストン氏は指摘する。

後継首相は短命か

 安倍首相の後任候補として名前が挙がっている岸田文雄前外相や石破茂元防衛相には、安倍氏のように官邸の権力を操るスキルを持った側近が周辺にいないと、アナリストは分析する。

 そのため、日本の首相が、回転ドアのように頻繁に交代する事態に再び陥ることを懸念する専門家もいる。

 第2次安倍政権が発足する前の5年間で、5人の首相が誕生した。1989年─2001年にかけては9人の首相が登場した後に、小泉純一郎首相が5年の長期政権を担った。

「いま安倍首相が退陣すれば、次の首相は2年ともたないだろう」と、コール氏は予測する。「安倍氏は、積極的な首相だ。次の首相は誰であれ、受動的になるだろう」

(Linda Sieg 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Copyright©2018 Thomson Reuters 無断転載を禁じます