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IEMタイプのイヤフォンを多数手がけてきたCAMPFIRE AUDIOがヘッドフォンに挑戦

 3月17日に名古屋市内のナディアパークデザインホールで「ポータブルオーディオフェスティバル2018 愛知・名古屋」(ポタフェス2018 名古屋)が開催された。およそ100のブランドが集結したポータブルオーディオの大型体験イベント。ヘッドフォンでは、Campfire Audio/デノン/サーモスの日本初公開製品をリポート。挑戦・継承・模索と、三者三様の方向性が見えてくる。

“ポータブル”を強く意識した「CASCADE」

 ミックスウェーブは、Campfire Audioブランド初となるヘッドフォン「CASCADE」を一足先に披露。3月末発表予定。折りたたみができる9万円強の密閉機で、持ち運びができる。ハウジングはアルミ製。ドライバーに42mm径のベリリウムユニットを採用し、イヤーパット一体型のカップには4種類を自由に変えて音を調整できるアコースティック・ダンパーを搭載する。リケーブルはゼンハイザー「HD800シリーズ」と同じものが使えるという。

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イヤーカップを外した様子。白いパッチのようなものがアコースティック・ダンパー。これを取り替えることで高音の減衰率を変えられる
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リケーブルはゼンハイザー「HD800シリーズ」と同じタイプが使えるという

 会場で実際に聴いてみると、低音が厚くて高音も程よく出ており、音の密度が高くて音像をつかみやすい、ひと言で言うと“現代的なリスニングサウンド”だ。着け心地は最初側圧の強さが気になったが、これはステンレス製アームの曲げ加減で調整可能。調整幅も広めで、ぐねっと広げると耳下の圧迫感が弱まった。

 イヤーパットは耐久性を重視し、強度がある厚手のラム革を使っているという。そのためか近年の高級機にあるフワフワ感からすると少し硬めだった。

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折りたたんだ様子。少し手のひらには収まりきらないが、持ち運ぶには十分な小ささ。
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側圧はステンレスのアームを思い切って“ぐねっ”と広げることで調節できる

デノンが持ち込んだ“詳細不詳の新製品”

 事前告知で「“詳細不詳新製品”を出します」としていたディーアンドエムのブースでは、デノンブランドのヘッドフォン2製品が参考展示されていた。なんでも「AH-D5000」「AH-D1100」の後継機らしい。調整もほぼ終わっているようで、この春に発表予定としていた。

 D5000の後継機は、ドライバーに新フラッグシップモデル「AH-D7200」と同じナノファイバーを踏襲し、繊維密度を緩やかにして上位機と性格を分けたという。ハウジングにゼブラウッド、ヘッドバンドには肌触りの良い人工皮革を使用するなど、高級機としての質感も追求したとする。

 会場で試聴したところ、高解像度でカラッとした音で、高音がパリッとしていて低音の強調感も穏やか。見た目に反して音場よりも音像がよく出るものだった。近年の流行を捉えた、ハイレゾ的・現代的な傾向のサウンドだ。

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DENONの“詳細不詳新製品”その1。ゼブラウッドをハウジングに使った「AH-D5000」後継モデルの予定だという

 D1100後継機も旧モデルの流れを汲む、ポータブル性を重視した仕上がりだ。引き続き50mm径ドライバーを採用し、フレームのハンガー部にアルミのしっかりしたパーツを採用。イヤーパッドは人工皮革の柔らかい素材を使用している。ケーブルはバランス接続のリケーブルに対応する2.5mm4極で、パッケージにはリモコン付きケーブルが標準で付属。ホワイトとブラックのカラバリを用意するという。

 会場で試聴した感想は、解像感も定位もそこそこ感じ、密閉型らしい低音が特徴的な音だった。現代のハイレゾ音源が要求する解像感を出しつつ、低音が効いた“デノンのヘッドフォンっぽい音”に仕上がっていたように感じた。

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デノンの“詳細不詳新製品”その2は「AH-D1100」後継モデルの予定
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折りたたむと結構小さくなる。リモコン付きケーブルも付属しており、スマホなどで使う事を強く想定している様子だ
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カラバリはホワイトとブラック。ホワイトは若手女性社員にウケが良かったらしい

“サーモスのオーディオ”を指し示すヘッドフォン

 魔法びんで培った真空技術を基に、近年オーディオ分野へ進出しているサーモスが、今度はヘッドフォンに挑戦。夏ごろの発表を目指して開発中という「HPT-700」は、40mm径のカーボンペーパードライバーを搭載、バランス接続のリケーブルにも対応したモデルだ。ハウジングは同社が得意とする真空二重構造で、素材にチタンまたはステンレスを使用した2モデルを、店頭価格3~5万円程度で計画中。会場には上位機にあたるチタンモデルが持ち込まれていた。

 ハウジングにはイヤフォンやスピーカーと同じ技術を使用。ブースで開発にまつわる話を聞くと、ヘッドフォンはイヤフォンよりもずっと大きいため作りやすいものの、水筒と違って形状が複雑なことに加えて、筒型真空構造は張力の関係で素材が動くため、ハウジングをバッフルに合わせる組み合わせが難しいのだという。

 会場で試聴した印象は、高音がクリアで音像がくっきり・しっかりしていたというもの。対して低音は少々フワリとしていて、ダブルベースなどではそれが暖かみを感じさせる場面もあった。デスクトップスピーカーとイヤフォンに対しても音の性格に一貫性があり、模索を続ける同社の方向性がどことなく見えてきたように感じた。

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魔法びん製造で培った製造技術でオーディオへ挑むサーモス社。新製品はチタン/ステンレスのハウジングを使ったヘッドフォン
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3.5mm 2又のリケーブルが可能。高音クッキリ/低音フワリが、“THERMOSの音”として定着する、だろうか

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