欧州自動車産業の図式は
いまどうなっているか

 欧州自動車メーカーは、主力であるドイツ勢力(アウディを含むVWグループ、ダイムラー、BMW、ポルシェ)が、先進国、中国、北米市場などで順調な伸び。それを、PSA(プジョー・シトロエン)とルノーが追う。だが、ドイツ車が小型車から高級車に至るまで、世界各地で世界標準車のように売れているのに対して、フランス車は世界市場のなかで見ると欧州市場への依存度があまりにも高い。

 それに続くのが英国。インドTATA社に買収されたジャガー・ランドローバー以外、同国内の自動車製造は日米メーカーへの依存度が高い。世界市場での英国車は、ジャガー、アストンマーチンなど“クセのある高級車”というイメージが先行する。

 その他、欧州内で多くの自動車ブランドがあるのが、イタリアだ。ここではアルファロメオ、ランチャ、フェラーリ、マセラティ、アバルトという主要ブランドの全てがフィアット傘下にある。またフェラーリや、独VWグループのランボルギーニ等の超高級車は世界戦略車だが、それ以外のイタリアブランドは欧州市場への依存度が高い。例外としてフィアットブランドはブラジルで長年に渡り、高いシェアを占めている。

 こうした欧州自動車産業界の図式のなか、独仏伊の自動車メーカーは近年、労働賃金と物価の安さを求めて、旧東欧諸国であるチェコ、スロバキア、ポーランド等に生産拠点を移してきた。そしていま、欧州自動車メーカーは欧州危機に直面した。その結果として、各社のCEOやCFOは最近、口を揃えて「欧州内で供給過剰な状態が当分続く」という。フィアットのマルキオンネCEOは欧州内で記者団に「少なくとも2014年までは欧州市場が低迷する」と漏らしている。

 こうなってくると、欧州内での販売依存度が高いフランスとイタリアのメーカーは、新たなる策が急務となる。

 新たなる策として考えられるのは、①生産拠点の整理統合、②他社との共同購買、車体共有、OEMの増加、③EUに近いロシアを筆頭とした新興国での現地生産と販売網の強化だ。