2兆0200億元という数字がそれを表す。2010年、中国の不動産向け貸付は2兆0200億元(前年比27.5%)、新規融資の4分の1にも上った。ひとたび不動産価格が下落し不良債権化すれば、個人も金融界もひとたまりもない。

不動産投資の高利潤に耽溺してきた民営企業
「実業精神」の覚醒が社会問題解決のカギ

 冒頭で触れた2つの会議で浮き彫りになったキーワードがある。「経済の転換、戦略の転換」だ。かねて中国政府はこれを繰り返し提唱してきたが、いっそう声高にした形だ。今後の成長維持には内需拡大、民間経済の牽引が課題となるが、それには民営企業の実力の底上げが待たれる。そこで必要となるのが民営企業を発展させるためのイノベーションであり、戦略の転換だ。

 一方で、肝心の民営企業は過去10年の「黄金の発展期」において、不動産投資で「濡れ手に粟」に慣れてしまっている。多くの中国人経営者は、実業を捨て不動産投機や株、金や農産物などの投資商品に「高利潤」だけを求め、そこへの投資を繰り返してきた。

 こうした「高利潤の追求」は、回り回って民間経済を危機に追いやった。不動産価格の高騰、物価高による市場の混乱、収入格差や経済格差、食品の安全問題からひいては自分自身の健康に至るまで、負の連鎖を生むようになった。こうした「社会問題の解決」と「民営企業の実業精神」は、密接不可分の関係である。

 実業を忘れた民営企業の「覚醒」は、新年度の重要なテーマだ。第11期全国委員会第5回会議では「実体経済の基礎固め」が議案として提出された。この議案は、忘れ去られた「実業の精神」の取り戻しを強調する。

景気が悪くなると歓迎される日本企業
「等身大のビジネス」に目が向く今がチャンス!?

 ところで、景気が悪くなると歓迎されるのは、いつも決まって日本の企業だ。2000年代、不動産バブルとそれへの「冷や水」的政策が景気の浮沈をもたらしてきたが、上海経済が踊り場を迎えるときは、なぜか日本企業の進出ラッシュという現象が見られた。