自宅での認知症ケアが難しくなった人が入居する認知症グループホームに対しても、医療面からの加算が新しく付いた。「医療連携体制加算」である。

 これまでは、看護師1人以上が職員としているか、あるいは医療機関や訪問看護ステーションと連携して看護師を確保していれば、1日390円の加算があった。それが、今回、看護師を常勤換算で1人以上配置し、たんの吸引などの医療ケアの実績があれば同590円の加算を別に設けた。准看護士を常勤換算で1人以上配置し、医療機関や訪問看護ステーションの看護師と連携をとり、上記医療ケアの実績があれば同490円の加算も得られる。

 看護職の配置が手厚ければ加算をとれるようにした。グループホームでの看取りを後押しする施策とも受け取ることができる。だが、看護師であれば誰でもが認知症ケアに精通しているとは限らない。

 サポート医にしろ看護師にしろ、病院での「回復」「延命」を目指す考え方をそのまま持ち込んでくると厄介なことになる。認知症ケアに医療が介入するには相当に慎重でなければならない。

 かつて、認知症の人が「夜間に眠れないなら、日中に体力を使えば」と施設内に長い回廊式廊下を生み出し、普及させたのは医療者であった。こうした過ちが繰り返されてはならない。

 このほか、リハビリ職や歯科医との連携を深めれば加算を取得できるようにした。理学療法士や作業療法士などがやってきて介護計画を作成した場合に「生活機能向上連携加算」を得られる。1月2000円である。歯科医師か歯科衛生士が介護職員へ助言・指導をすると1月300円の「口腔衛生管理体制加算」も登場した。

 このようにグループホームへの医療側からのアプローチがあると加算が付く仕組みがあっという間に増えた。グループホーム本体の基本報酬には手を付けられていない。

 認知症ケアにとって最も重要な本人の日々の暮らしを支える視点が抜け落ちているようだ。医療ケアもないよりはあった方がましかもしれないが、本筋とは言い難い。日常生活が成り立つには、認知症の人の思いをきちんと受け止め、その願望に寄り添う環境作りが欠かせない。