3月23日、トランプ米大統領(写真)は年間最大600億ドル相当の中国製品に追加関税を課すと発表したが、その最終目的ははっきりしない。ワシントンで22日撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米大統領は年間最大600億ドル相当の中国製品に追加関税を課すと発表したが、その最終目的ははっきりしない。中国の対米貿易黒字を削減させるにとどまるのか、それとも中国が産業政策を抜本的に変えるまで粘るのかによって、今後の見通しは大きく異なってくる。

 トランプ氏は22日、中国の貿易赤字を1000億ドル削減させる意向を示した。一方でライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、米企業が中国企業に対する技術的優位を保てるような、抜本的な変革の重要性を指摘した。

 米政府は2週間以内に関税の対象となる具体的品目を公表し、その後30日の市中協議期間を経て関税を発動する予定だ。しかしライトハイザー代表が言うような改革は、それほど短期間で実現するものではない。

 戦略国際問題研究所(ワシントン)のスコット・ケネディー所長は「トランプ政権の最終目的ははっきりしない。中国側の譲れぬ線は明確だ。つまり、いかなる産業政策の変更にも応じないだろう」と語る。

 ケネディー氏によると、中国が米国産大豆や牛肉、液化天然ガス、ボーイング機などの購入を増やせば、3750億ドルの対米貿易黒字を減らすことは比較的簡単だ。しかし米国企業が中国に合弁企業を設立する際の条件などについて根本的な改革を迫れば、中国の猛反発に遭い、米国経済にも痛みが及びそうだという。

 アメリカン・エンタープライズ研究所の中国貿易専門家、デレク・シザーズ氏は「中国はわれわれに餌を2、3個投げ与え、あとは現状維持の構えだろう。本当に中国の行動を変える交渉となれば、長く、痛みの多い道のりになる」と話した。

 シザーズ氏はまた、600億ドル相当の輸入品に関税を課す程度では、中国政府に大きな打撃を与えないとしている。

 中国側の反応は今のところ限定的だ。中国商務省は30億ドル規模の米国製品の関税引き上げを発表したが、これは鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への報復措置。

 また崔天凱駐米大使は米ブルームバーグ・テレビのインタビューで米国債の購入減額の可能性について「全ての選択肢を視野に入れている」と述べ、含みを持たせた。

 中国は米国産の大豆の輸入削減もほのめかしている。ただ、米国側が関税の対象品目を公表するまでは全面的な反応を控えそうだ。

 コーネル大の通商政策教授、エズウォー・プラサド氏は「双方が姿勢を硬化させている上、トランプ政権は最終目標が不明確なゲームを進めているため、交渉は通常以上に複雑さを増すだろう」と話した。

(David Lawder記者)

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