突然死を招く「高血圧」の真実、普段元気な人が危ない!?写真はイメージです

年齢が50~60歳にもなれば、脳卒中や心臓病で突然死してしまうリスクが高くなる。特に高血圧の人はそのリスクが高い。普段は元気だからと言って油断ならない。その実態や予防法などについて、常喜医院院長・慈恵医大新橋健診センター非常勤診療医長の常喜眞理医師に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

意外なことに高血圧患者は
上250下150でも元気ハツラツ

 今年2月、66歳で亡くなった俳優・大杉漣氏の死因は急性心不全。急性心不全は病名だと思っている人が少なくないが、実は病名ではなく、心臓の働きが「急激に低下」することによって不十分となり、結果起きた体の状態のことを指す。

 原因として最も多いのは突発的に発症する急性心筋梗塞などの虚血性心疾患で、これらの疾患を引き起こす最大の危険因子が心臓に余分な負担がかかる「高血圧症」である。

 大杉氏が亡くなった詳しい経緯は公表されていないが、訃報を耳にした人たちは皆、「自前のサッカーチームで、還暦超えても月2回はプレーするほど元気だった人がなぜ」と驚いたのではないだろうか。

 だが、仮に高血圧が絡んでいたとしたら、基本的に自覚症状はないので、前兆を感じなかったことに不思議はない。悪化すると動悸や頭痛、めまいはあるようだが、血圧との直接の因果関係を判断することはできない。

 それどころか、「高血圧の人ほど元気です。元気と血管リスクは逆ですよ」と警鐘を鳴らすのは、「家庭医」として自らのクリニックで日々患者たちの健康管理に取り組み、かつ慈恵医大新橋健診センターの診療医長として、日常的に大勢の健康診断(人間ドック)に関わっている常喜眞理医師だ。