スマホの次はEVで敗北?中国が仕掛ける「ゲームチェンジ」を侮るなCESで公開されたBYTON Photo:BYTON

 2018年1月、ラスベガスで行われた家電見本市のCESで、中国ベンチャー企業の電気自動車(EV)のコンセプトカー「BYTON(バイトン)」が発表された。

 巨大なスクリーンや運転手の顔認証システム、5Gを活用した自動運転など見るものの心を躍らせるような仕掛けが多く施され、大きな注目を浴びたのが記憶に新しい。

 こうした中国スタートアップ企業による大々的な発表の裏側には、中国政府が国策としてEV導入を推進していることがある。その背景として大気汚染の防止などの理由が挙げられるが、ビジネスの視点から見たとき本当に重要なのはそこではない。

 重要なのは、EVの特徴として挙げられる「部品点数がガソリン車と比べて圧倒的に少ないこと」「製造業以外プレーヤーの事業機会」など、従来のノウハウに囚われず新規参入しやすい点。それらを背景に、これまで日本や欧米メーカーがメインプレーヤーだった、ガソリン車を中心とする自動車市場に「ゲームチェンジ」を起こそうとしていることだ。

 本稿では、「EV市場」という新たなフィールドの勃興を通じて、中国勢が狙うゲームチェンジの構造と、そこから日本企業が取り組むべき課題について提言していきたい。

投資対象の半分以上が「中国スタートアップ」

「投資案件の半分以上が中国企業、さらにその7~8割がEV関連企業です」

 これは、筆者がマネージング・パートナーを務める、シリコンバレー発のアジア系ベンチャーキャピタル「トランスリンク・キャピタル」で毎週行われている、投資案件検討ミーティングの一コマだ。