3月29日、年初来の円高進行を受け、政府・日銀は物価への影響を警戒している。早期のデフレ脱却も、日銀が目指す物価2%目標と金融正常化の道のりも遠のく可能性があるためだ。足元の物価上昇を支えてきた既往の円安効果がはく落し、年後半以降は円高が影響してくるとみられる。写真は日本円紙幣と米ドル紙幣。2013年2月撮影(2018年 ロイター/Shohei Miyano)

[東京 29日 ロイター] - 年初来の円高進行を受け、政府・日銀は物価への影響を警戒している。早期のデフレ脱却も、日銀が目指す物価2%目標と金融正常化の道のりも遠のく可能性があるためだ。足元の物価上昇を支えてきた既往の円安効果がはく落し、年後半以降は円高が影響してくるとみられる。

 一方で経済の好循環に向けて、出足好調な賃上げへの期待は高まっている。政府・日銀は今後の展開について、円高と賃上げという物価への強弱材料の綱引きになるとみており、動向を注視している。

秋以降に物価押し下げ圧力

「デフレ脱却はそう簡単ではない」──。経済官庁の複数の幹部は今年3月中旬以降、円高が一段と進行するにつれて物価への影響を気にし始めた。

 年初には経済財政諮問会議で「今年はデフレ脱却に向けた重要な年」との発言もあったが、そうした機運はやや後退したように見える。

 米トランプ政権の保護主義的な政策発動などを背景に、1月8日に113.40円だったドル/円は3月25日に一時、104.56円までドル安/円高が進んだ。29日は106円台後半で推移しているものの、市場の円高懸念は消えていない。

 政府関係者の1人は、円高について「消費者物価に対して3四半期程度たつと影響してくる。足元のCPIの上昇傾向は続かない。今年後半から押し下げ圧力が働いてくる」と指摘する。

 その関係者は「為替がどう動こうとも、着実に物価が上がっていく経済にならないと、デフレ脱却と判断できない」と述べる。

 少なくともGDPデフレーター(前年比)のプラス推移が明確に定着し、かつ現在0.5%にとどまっている生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIが前年比1%以上のプラスで安定することが必要とのスタンスを示す。