50代の採用は、企業が気づいていない「ブルーオーシャン」だ写真はイメージです

転職は求職者と求人企業の思惑が一致して、初めて成り立つ。前回、59歳で経理財務部長として転職を果たした村上祐一氏の例を紹介したが、50代の人材を採用した企業側、マーベラスの意図は何だったのか。今回は、50代を採用する企業側について見てみたい。(リクルートキャリアエージェント事業本部 ハイキャリア・グローバルコンサルティング 小笠浩史)

50代人材を採用する企業とは?

 中堅・中小企業の管理職層の採用意欲は高まっている。そうした企業が経験豊富な管理職経験者を採用したいという意欲は以前からあったが、最近はさらにその傾向が強まっている。

 景気拡大を追い風に事業拡大を意図して、海外事業や新しい事業領域への進出、新技術や新商品の研究開発、事業の再編や業務プロセスの再構築を考える企業が、その分野で豊富な経験を持つ人材を求めているのだ。

 しかし、そういった人材を採用することは難易度が高いうえに、採用してもすぐ辞めてしまうというケースが少なくないのも実態だ。

 50代の人材を採用したマーベラスは、優秀な人材を採用し、その人材を活躍させることができたのか。

 マーベラスは、オンラインゲームアプリからゲームセンターなどのゲーム機、音楽映像事業までを幅広く扱う総合エンターテイメント企業。現在600名ほどの社員が在籍するが、複数の企業が合併して現在の事業規模に成長した。だが一方で、急成長によりさまざまな課題が生じていたという。

 同社の管理統括本部人事部長は「財務経理も課題の1つでした。業務フローの改善やメンバーのレベルアップを支える仕組みを構築できる人材を求めた結果が、村上の入社です」と話す。

 実務を理解し、業務体制が構築できる。リーダーシップをもって業務を推進・遂行できるスキルと経験を有する財務経理のプロ、というハードルの高い採用だったが、これに当てはまる人材を採用できた。その要因は「“ブルーオーシャン”の発見」だったという。