「自治体を超えた、応援協定のルートが必要です。例えば、日本海側と太平洋側の災害は、違うことが多いので、両方からアクセスしやすい物流基地があるといいと思う。民間と契約して、基地にはロジスティクスに長けたチームを置いて、1時間以内に物資を届けるという仕組みにする。自治体の職員にとっても災害業務がやりやすくなるし、被災者にとっても、必要な物が、必要なところにすぐ届く」

 こうしたスケール感の支援システムが実現すれば、想定外の事態でも、末端の混乱やタイムロスが減り、市町村合併のメリットが大きくなるのだろう。

弊害ばかりでなくメリットも
早急に市町村合併による影響の検証を

荒野のようになった町の跡地のあちらこちらで、花と線香が手向けられた(2012年3月11日、石巻市)
Photo by Yoriko Kato

 ここまで、大震災における市町村合併の弊害ばかり挙げてきた。もちろん、広域化したメリットもあった。

 以前に、陸の孤島と化した雄勝町の状況を書いたが、雄勝町のような壊滅地域に対するバックアップは、合併したからこそできたことだったという。

 日本には今、人口が1万人以下の小規模自治体が480あるという。財政的・人員面での脆弱性が指摘される一方で、危機においては、行政と住民の距離感の近さが強みとなることもある。自治体が広域化したからこそできたこともあれば、効率化の弊害もある。

 国は、大震災への市町村合併の影響について、調査や検証をまだ行っていない。

 昨年5月の段階で、片山善博総務大臣(当時)が、市町村合併の弊害があったことを認識し、震災対応についての調査や検証の必要性について述べている。しかし、東日本大震災を踏まえた基礎自治体のあり方については、現在行われている第30次地方制度調査会で、総理大臣の諮問を受けて審議するという段階だ。

「だけどいまの調査会では、大阪都構想などの大都市制度のあり方についての議論が中心になってしまっています。震災と基礎自治体のことをどこまで審議できることになるのか」(総務省市町村体制整備課)

 東日本大震災が突きつけた課題を十分に語り合い、市町村合併の弊害を穴埋めするシステムを作りあげていかなければいけないこの時期に、なんとももどかしい状況だ。