日本の「国民皆保険制度」の素晴らしさが分かる3本の映画

古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第8回は公的医療保険の重要性を理解するため、米国の医療制度の惨状を描いたマイケル・ムーア製作の2007年製作の『Sicko(シッコ)』に加えて、戦前の小津映画を取り上げることとします。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

日本が採用する
国民皆保険制度

 4月に入り、入社・退職や転職、転居などを経験された方がいらっしゃるかもしれません。それに伴って、新しい健康保険証を受け取ったのではないでしょうか。日本の医療保険制度では、保険料を徴収する保険の運営主体(保険者)が計4000近くもあるため、仕事や住所が変わると、加入する保険者も変わります。

 例えば、大企業を辞めた人は、会社の健康保険組合から市町村の国民健康保険に、75歳を迎えた人は、市町村の国民健康保険から都道府県単位の後期高齢者医療制度に移ります。